研究実績の概要 |
我々は、これまでに世界に先駆けて世界に先駆けてp53依存的細胞死誘導キナーゼとしてDYRK2を同定し、癌の増殖、転移・浸潤に関与することを明らかにしてきた (Taira et al. J Clin Invest, 2012/Mimoto et al. Cancer Lett, 2013/ Mimoto et al. Oncogene, 2017)。そこで肝癌におけるDYRK2の役割については解析を行ったところ、ヒト肝癌検体において癌部では非癌部に比べ、DTRK2の発現が低下しており、かつDYRK2発現低下例では予後不良であること、肝癌細胞株では正常肝細胞よりDYRK2が低発現であり、その強制発現及びknockdown機能解析から DYRK2がin vitroにおいて腫瘍細胞増殖抑制やapoptosisを誘導すること、肝癌細胞株を免疫不全マウスに移植したxenograft担癌マウスにおいて、adenovirus遺伝子導入によるDYRK2強制発現がin vitroのみならずin vivoでも細胞増殖抑制とapoptosis誘導を介した腫瘍縮小効果を持ち、将来的な新規治療に有用となる可能性を見出した。以上の結果は学術雑誌に採択され掲載された(Yokoyama-Mashima S et al. Forced overexpression of DYRK2 exerts anti-tumor effects via apoptotic induction inliver cancer; Cancer Lett. 451;100-109, 2019)。さらにこれまでの研究成果を発展させ、肝細胞特異的DYRK2欠損マウス及びマウス肝癌誘導モデルを用いたDYRK2の機能解析を行った。マウス肝癌誘導モデルでも、腫瘍造成におけるDYRK2の役割として興味深い結果が得られつつあり、がん幹細胞も含めた制御メカニズムを今後明らかにしていく予定である。
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