研究課題/領域番号 |
19K08431
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
須藤 研太郎 千葉県がんセンター(研究所), 消化器内科, 主任医長 (60400884)
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研究分担者 |
横井 左奈 千葉県がんセンター(研究所), 遺伝子診断部, 部長 (30372452)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 膵癌 / EUS-FNA / 全エクソンシーケンス / 変異シグネチャー |
研究実績の概要 |
膵癌の中にはDNA相同組換え修復異常(HRD)を有し、プラチナ製剤やPARP阻害剤の有効なサブグループが存在する。治療前にHRDの存在が確認できれば、患者の治療選択において有用な情報となる。HRDの代表的な原因遺伝子としてはBRCA1、BRCA2遺伝子が知られるが、この他にも種々の遺伝子異常が関連する。近年、HRDを有する腫瘍は全ゲノム、全エクソンシーケンスに基づく変異シグネチャー解析により特有の塩基変異パターン(BRCAシグネチャー)を示すことが報告される。本研究では超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)によって採取した膵癌組織を用い全エクソンシーケンス、変異シグネチャー解析を行い、プラチナ含有レジメンの治療効果との関連を検討し、個別化モデルを構築する。 2021年度も継続してEUS-FNA検体の収集を行った。FOLFIRINOX療法を行った患者の検体を対象にKRAS変異解析を行い、最終的に5例のEUS-FNA検体および末梢血コントロールを用い、全エクソンシーケンスを施行した(合計10検体)。2020年度に全エクソンシーケンスを行った6例と併せ計11例について検討を行い、KRAS (100%)、TP53(82%)、CDKN2A(36%)、SMAD4(9%)、ARID1A(9%)などの遺伝子変化が検出された。いずれも膵癌にみられる代表的な遺伝子変化であり、解析の精度は確保されておりさらなる評価が可能と考えられた。 今後も検体を集積し、これまでのデータと統合し変異シグネチャー解析、臨床情報との比較などを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
EUS-FNA検体を収集可能な対象患者は限られること、推定される腫瘍細胞割合やDNA収量などを踏まえ全ての検体において全エクソンシーケンスが行えるわけではないことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、EUS-FNA検体の収集を行い解析を進める。なお、本研究の目的はプラチナ製剤に対する感受性とゲノム情報の比較を行い、バイオマーカーとしての有用性を検討することにある。対象例が少ない場合にはFOLFIRINOXをベースとしたプラチナレジメン(プラチナ以外の抗癌剤の一部を省略または変更したもの)を行った患者も含めることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析対象となるEUS-FNA検体が限定されることが主な要因である。 当該年度(2021年度)は5例(10検体)の全エクソンシーケンスを行ったが、前年度(2020年度)未使用額もあり、次年度使用額が生じる結果となった。今後も引き続き、対象となる検体を集積し、残額を用いた解析を行う予定である。
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