研究課題
【背景】化学療法の進歩により切除不能な消化管がん患者の生存期間は延長してきたが、決して満足できるものではない。がん細胞は治療の介入によりさらに遺伝子異常の蓄積をきたし、様々な特性を獲得する。そのため、今後のさらなる生存期間延長のためには、がんの個性に基づいた治療法の選択、すなわち個別化医療が必須である。個別化医療の遂行のためには、がんの個性を的確に捉え、最適な治療を予測するコンパニオン診断法が必要になる。そのため、継時的・空間的に変化するがん細胞の個性を正確かつ非侵襲的にとらえる技術の創出が求められる。上記背景から、消化管がんの個別化医療の確立を目的に消化管がんの末梢循環腫瘍細胞(circulating tumor cells, CTCs)の生物学的特性を理解し、有用な病態診断法を開発することに着想した。私たちはCTCsから遺伝子変異を確認する効率の良い解析方法の確立に挑戦し、上皮表面マーカーを利用せず、細胞径によりCTCsを血球から分離する微小経路を用いて消化管がんのCTCsの分離及び、CTCsの微量DNAは一旦増幅を行った後から次世代シークエンス(NGS)でゲノム解析を行うための手技をすでに確立し報告している。ニボルマブ(オプジーボ)の投与をうける進行胃癌患者、計10例の末梢血からCTCsの分離が可能であった。増幅したDNAから今後NGSを行い、CTCsからがん遺伝子、がん促成遺伝子変異のプロファイルの抽出を予定している。今後も症例登録を継続する。さらに、進行胃癌を対象に5例の末梢血からCTCs分離を行いスフェロイド形成によるがん三次元培養などを検討した。
2: おおむね順調に進展している
ニボルマブの投与を受ける進行胃がん患者10名から末梢循環腫瘍細胞を効率的に採取でき、微量DNAは一旦増幅を行ったのち保存できているため。
実際に胃がん患者から分離した末梢循環腫瘍細胞のゲノム解析を実施する予定である。引き続きCTCsの培養を検討していく。
理由;当初購入しようとした消耗品の在庫がなく、納品が年度を超える可能性があったため。使用計画;未使用額は次年度の物品費として充てさせていただきたい。
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