研究課題
【研究目的】消化管がんの個別化医療の確立を目的に消化管がんの末梢循環腫瘍細胞(circulating tumor cells, CTCs)の生物学的特性を理解し、有用な病態診断法を開発する。【研究目標】I.胃がんCTCsを用いたゲノム解析をはじめとしたオミクス解析技術を創出し、免疫チェックポイント阻害薬に対する精密医療を確立する。II.消化管がんCTCsを用いた細胞培養技術を創出する。【研究結果】私たちはCTCsから遺伝子変異を確認する効率の良い解析方法の確立に挑戦し、上皮表面マーカーを利用せず、細胞径によりCTCsを血球から分離する微小経路を用いて消化管がんのCTCsの分離及び、CTCsの微量DNAは一旦増幅を行った後から次世代シークエンス(NGS)でゲノム解析を行うための手技を確立した。進行期の胃がん、三次治療でのニボルマブ治療開始前に計11例の末梢血からCTCsの分離が可能であった。Whole genome amplificationにより増幅したDNAからNGSを行い、CTCsからがん遺伝子、がん促成遺伝子変異のプロファイルの抽出に成功した。同一患者から得られた手術検体(FFPE)とliquid biopsy検体であるCTCsやctDNAの遺伝子変異プロファイルが異なっていた。そのため、CTCsとctDNAの両方のプロファイルを併用することで、それぞれの単独のアッセイと比べて遺伝子変異検出が改善すると考えられた。次に各症例のFFPEとCTCsのTumour mutation burden(TMB)と生存期間の検討を行った。FFPEとCTCsのTMBは一致しておらず、CTCsのTMBはFFPEより低い傾向を認めた。FFPE、CTCsともにTMBが高い傾向がある症例は、全生存期間も長い傾向があった。CTCsを培養するための基礎技術については、引き続き検討が必要である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件)
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