研究課題
膵癌はUICC-TNM分類第8版によってStage I-IVに分類される。Stage I-IIの多くは切除可能であるが、Stage IIIおよびStage IVは切除不能な進行膵癌であり、Stage IIIは「局所進行膵癌」、Stage IVは「遠隔転移を伴う膵癌」となる。膵癌全体でStage I-IIが約15%、Stage III: 35%、Stage IV: 50%であるが、治癒の可能性のあるのはStage I-IIの一部である。Borderline resectable膵癌は局所進行膵癌の新たな疾患概念であり、CAやSMAと180度未満で接触・浸潤している。そのため切除しても高率にR1切除となり術後再発率が高く予後不良で、膵癌全体の3%程度を占める「希少フラクション」である。BR膵癌に対してR0切除を目指し、術前治療として化学療法あるいは化学放射線療法を用いた前向きのコホート研究、あるいは小規模な第2相試験が国内外で実施され徐々に予後は改善しているが未だ満足できるレベルではなく、膵癌全体の5年生存率は10%程度の難治癌である。BR膵癌を対象とした術前GEM+nab-PTXとS-1併用放射線療法のランダム化比較第2/3相試験であるGABARNANCE試験の附随研究として、本研究課題ではctDNA中変異KRAS解析のBR膵癌NAC後の手術適応決定への応用を目的に、術前治療の効果と切除標本における奏功を予測する新規バイオマーカーとしての血中KRAS変異解析と周術期アウトカムを比較する。本研究の成果は、BR膵癌のみならず、化学療法後のコンバージョン手術を考慮する膵癌への外挿により、膵癌全体の予後改善に資するバイオマーカーの開発に寄与することが期待される。現在研究グループ内で最終調整を行い、附随研究プロトコールの完成を目指している。
4: 遅れている
附随研究プロトコール完成の遅れとCOVID-19拡大に伴う研究の制約のため。
COVID-19感染拡大に対する緊急事態宣言も解除されたため、附随研究プロトコールの早期完成を目指す。その後、本体試験参加施設と情報を共有し、特に検体採取・搬送の手順についてメールあるいはweb会議を通じて周知する。
理由:令和1年度の研究の進捗が予定より遅れたため、令和1年度に予定していた研究費の一部を令和2年度に持ち越したことによって、次年度使用額が生じた。使用計画:血液検体収集のための消耗品(採血管)、発送費用、DNAの抽出とデジタルPCRによるctDNA解析を予定する。
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