研究課題/領域番号 |
19K08439
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
山下 篤哉 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00334871)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | HBV / HBx / cccDNA / 抗ウイルス化合物 |
研究実績の概要 |
研究代表者らは、HBxが核内染色体外環状DNAの維持を制御するとの報告を基にして、まず、核内おいて染色体外環状DNAして維持出来るHBVコアプロモーター ルシフェラーゼ プラスミドをEBウイルスのエピゾーマルベクターシステムを用いて構築した(HBVコアプロモーター・エピゾーマル・レポーターベクター)。作製したHBVコアプロモーター・エピゾーマル・レポーターベクターとHBx発現ベクターとHepG2細胞に一過性に共移入し、ルシフェラーゼ活性が上昇するかについて検討を行った。その結果、2~3倍ほどのルシフェラーゼ活性の上昇が確認され、HBxがHBVコアプロモーター・エピゾーマル・レポーターベクターの核内維持おいて正に制御していることを確認した。しかしながら、ルシフェラーゼ活性の上昇が2~3倍程度では、薬剤スクリーニング系としては不十分であるため、HBxおよびHBVコアプロモーター・エピゾーマル・レポーターベクターの安定発現細胞株を樹立することによって、その活性が10倍程度に上がるような系の樹立を試みた。そこで、まず、HBxが高発現される誘導システムの構築を行った。研究代表者のこれまでの実験結果より、ERT2iCre-loxPシステムがオフの状態での遺伝子発現が低く保たれ、誘導時には高い発現誘導能を持つことが分かっていたので、ERT2iCre-loxPシステムを用いたHBx発現HepG2細胞を樹立した(ERT2iCre-loxP HBxHepG2細胞)。更に、ERT2iCre-loxP HBxHepG2細胞にHBVコアプロモーター・エピゾーマル・レポーターベクターを移入し、安定発現細胞株を50クローンほど樹立した。しかし、いずれも誘導時にはHBxは高発現するものの顕著なルシフェラーゼ活性の上昇は確認出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
染色体外環状DNAとして維持されるHBVコアプロモーター・エピゾーマル・レポーターベクターが安定的に細胞内に維持され、更に、Cre-loxPシステムによりHBxタンパクが高発現する細胞株を樹立したが、現在までのところ薬剤スクリーニングに使えるような細胞の樹立には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのシステムでの細胞株の樹立は継続しつつ、新たにレポーター遺伝子が挿入されたHBV cccDNAが細胞内で保持される系を構築中である。こうした幾つかの試みの中から、HBxの働きを抑制出来る化合物のスクリーニング系の構築を今年度中に確立することを目指す。
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