研究実績の概要 |
CX3CR1 wild type (WT) マウスとCX3CR1 knockout (KO) マウスから採取した5 x 10e6個の全骨髄細胞を10 Gy放射線を照射したC57BL/6J-Ly5.1(Ly5.1)マウスに移植し骨髄キメラマウスを作成した。Ly5.1マウスの全骨髄細胞を同数WTマウスまたはKOマウスに移植したLy5.1骨髄キメラマウスも作成した。移植2ヶ月後にazoxymethaneを腹腔内投与し、その1週間後から1% dextran sodium sulfateを1週間投与/2週間蒸留水投与というサイクルで3サイクル繰り返した。その結果、(1) 傷害から20週の時点で、disease activity indexはWT骨髄キメラマウスもKO骨髄キメラマウスも差はなかったが、大腸腫瘍の数はKO骨髄キメラマウスの方がWT骨髄キメラマウスより有意に少なかった。(2) Ly5.1骨髄キメラマウスではレシピエントマウスの違いによる大腸腫瘍の数の差は認められなかった。つまり、大腸腫瘍形成にはCX3CR1陽性血液細胞が関与すると推測された。(3)WT及びKO骨髄キメラマウスの大腸組織からmRNAを採取しreal-time PCRを実施したところ、KO骨髄キメラマウスではWT骨髄キメラマウスに比してTgfb, Col1a1, Tnfa, Il1bの発現が有意に低かった。(4) 血漿のTGF-β、TNF-α、IL-1βも、KO骨髄キメラマウスはWT骨髄キメラマウスに比して有意に少なかった。(5) procollagen I陽性CX3CR1陽性マクロファージ(Mφ)はWT骨髄キメラマウスに比してKO骨髄キメラマウスで有意に少なかった。以上から、CX3CR1陽性Mφは炎症下でTGF-β、TNF-α、IL-1βなどのサイトカインを産生し、大腸腫瘍形成に関与している可能性がある。
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