研究課題/領域番号 |
19K08445
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 康史 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任教授 (80343383)
|
研究分担者 |
三好 人正 徳島大学, 病院, 診療支援医師 (00814625)
高山 哲治 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10284994)
岡本 耕一 徳島大学, 病院, 講師 (60531374)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 膵癌 / exosome / miRNA |
研究実績の概要 |
膵臓癌は最も侵攻性の高い消化器癌の一つであり、その一因として、広範な局所浸潤、早期全身播種、化学療法への抵抗性が挙げられる。我々は、膵臓癌と接触している後腹膜の脂肪細胞に着目し、膵臓癌との共培養により癌関連脂肪細胞(CAA)が誘導されることを明らかにしてきた。さらに、その培養上清が膵臓癌のSAA1の発現を促進し、転移・浸潤の促進に寄与することを示してきた。そこで、本研究では、脂肪細胞が分泌するmiRNAが膵癌の制御に重要な役割を果たすという考えのもと、癌関連脂肪細胞(CAA)の上清中に分泌された細胞間・臓器間のコミュニケーションを担うexosomeに着目し、膵癌悪性化に関わるexosomal miRNAを同定してきた。本年度は、exosomeを用いたliquid biopsyによる膵臓癌の診断に向けた基礎研究として血清検体を用いたliquid biopsyによる膵癌診断法の検討を行った。まず、膵癌患者の血中exosomal miRNAをqPCRにより高感度に検出できるかどうかを検討した。当科で膵癌と診断された62症例(stage I-IV)ならびに、12例の健常人を対象の血清を採取しmiRNAを抽出しqPCRによりexosomal miRNAの発現量を検討した。得られた結果からROC曲線を作成し感度特異度を算出、Cox比例ハザード回帰解析で単変量解析、多変量解析を行いmiRNAが生存率に関する独立したバイオマーカーとなるかを検討した。その結果、exosomal miRNA -高膵臓がん患者はexosomal miRNA -低患者に比べて予後が著しく不良となることが示された。以上の結果はexosomal miRNAが膵臓癌の新規バイオマーカーとして有用であることを示し今後さらなる症例を蓄積し検討を行うことを予定している。
|