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2020 年度 実施状況報告書

自己免疫性肝炎におけるエクソソームの網羅的解析と病態への関与

研究課題

研究課題/領域番号 19K08447
研究機関福島県立医科大学

研究代表者

大平 弘正  福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90274951)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード自己免疫液性肝炎 / エクソソーム / microRNA
研究実績の概要

細胞から体液中に分泌される脂質二重膜小胞「エクソソーム」はタンパク質や核酸を内包し、癌転移や免疫応答など種々の生体内イベントに関与している。また、エクソソームを標的・活用した治療法の開発も検討されている。自己免疫性疾患である自己免疫性肝炎(AIH)は原因が不明であり、疾患特異的マーカーの同定や病態解明ならびに治療抵抗例に対する治療法開発が急務となっている。本研究では、AIH患者血液中のエクソソームの網羅的microRNA解析を行い、疾患特異的なmicroRNAの同定することを目的とする。
昨年度は、エクソソームの網羅的miRNA解析として、同意の得られたAIH4例、正常ボランティア4例の血清からmicroRNAの網羅的解析を行な正常者と有意差のある上位3つのmiR-7877-5p、miR-6806-5p、miR-557を選択しその生理活性を調べた。これらmiRNAは脂質代謝やステロイドホルモン合成に関与することが明らかとなった。今年度は、PCR可能なmiR-7877-5pとmiR-557の発現量をqPCR(デジタルPCR)にてAIH患者25例、正常者12例、原発性胆汁性胆管炎(PBC)12例、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)12例の血清を用いて検討した。発現量の検討では、miR557, miR7855-5pの発現量は健常者と比較してAIH血清で有意に増加し、miR557の発現量はNASH, PBCと比較して有意にAIH血清で増加していることが明らかとなった。また、miR7855-5pの発現量はAIH肝線維化進行例の血清で有意に増加していることが明らかとなった。これまでの結果から、miR557はAIHの診断マーカーとして、またmiR7855-5pは線維化進行マーカーとして有用であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2020年度計画であるAIH患者血清からのエクソソームを抽出し、健常者に比し発現上昇のあるエクソソーム由来のmiRNA候補を網羅的解析から選択された3候補miRNAの発現量をAIH血清、疾患対照血清、健常者血清で比較検討し、さらに、AIH患者における臨床的有用性を確認することができた。今年度は、血清からのエクソソーム抽出にやや時間を要したため、末梢血単核球と培養細胞へのmiRNAの影響については2021年度に検討予定とする。

今後の研究の推進方策

今年度は、miR-7877-5pとmiR-557の発現量をqPCR(デジタルPCR)にて、AIH患者血清では、原発性胆汁性胆管炎(PBC)患者、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者と正常者血清との間で有意差が得られたため、精製されたエクソソーム・miRNAを末梢血単核球、培養細胞(正常ヒト肝細胞、肝類洞内皮細胞)へ添加し、その影響を解析する。末梢血単核球では炎症性サイトカイン(IFN-α、TNF-α、IL-1β、IL-6等)およびToll-like receptors(TLRs)リガンドによるサイトカイン産生抑制効果をBio-Plexマルチプレックスアッセイシステムにて測定する。培養細胞では補体分子(C3、C4、MBL、ficolin)をELISA法にて測定し、併せてアポトーシス誘導(Caspase3/7アッセイ、Cell death detection ELISA)、細胞増殖抑制能(MTTアッセイ、BrDUアッセイ)について検討する予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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