研究課題/領域番号 |
19K08449
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
宮部 勝之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00543985)
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研究分担者 |
吉田 道弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20636328)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 胆管癌 / Silmitasertib / CK2阻害薬 / 薬剤抵抗性 |
研究実績の概要 |
Silmitasertib (CX-4945) はセリン・スレオニンキナーゼの一種であるCK2の阻害薬であり、経口摂取可能な上、CK2 subunitのATP結合部位に競合的に作用することで、主にPIK3/Akt pathwayのリン酸化を阻害し腫瘍増殖を抑えるとともに、GEMやCDDPの抵抗性を司るDNA修復酵素MDC1およびXRCC1のリン酸化をも阻害し、抗がん剤感受性を増強させる効果も併せ持つ。申請者らが施行した胆管癌xenograftを使用した前臨床試験にて、SilmitasertibがGEM+CDDPへの上乗せ効果を認めた一方で、投薬経過中に薬剤抵抗性の獲得が観察された。しかし、Silmitasertib効果予測に有用なバイオマーカーは何か、また本薬剤抵抗性にはどのような機序が関与しているのかは明らかにされておらず、これらの問いを解明することで次なる治療法を模索し、確立する必要がある。 本研究では本年において、すでにCX-4945およびGEM+CDDPを投与されたマウス、GEM+CDDPを投与されたマウス、コントロールのマウスより得られたxenograftからそれぞれ3例ずつDNAを抽出し、Mayo Clinicにて、Exome sequenceを行い、遺伝子変異などの違いを調べた。 結果は、GEM+CDDPとGEM+CDDP+CX-4945の比較において、ZNF556など3個の遺伝子発現が増幅しており、その他2個の遺伝子発現が減少していた。今後、これらの遺伝子をトランスフェクションさせ遺伝子増幅させたりRNA干渉などで発現を減少させることで、CX-4945に対する薬剤耐性を獲得するか、in vitroの実験から行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Exome sequenceは順調に終了したが、その後の遺伝子解析に時間がかかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度においては、すでにCX-4945およびGEM+CDDPを投与されたマウス、GEM+CDDPを投与されたマウス、コントロールのマウスより得られたxenograftからそれぞれ3例ずつDNAを抽出し、Mayo Clinicにて、Exome sequenceを行い、遺伝子変異などの違いを調べた。 結果は、GEM+CDDPとGEM+CDDP+CX-4945の比較において、ZNF556など3個の遺伝子発現が増幅しており、その他2個の遺伝子発現が減少していた。 例えばこのZNF556遺伝子、は、zinc finger protein(ZNF)ファミリーに属する遺伝子あり、この遺伝子発現が大腸癌の予後と関連しているとの報告がある。その他の遺伝子に関しても論文検索したが、まだ論文化が少ない遺伝子もあり、その役割が解明されているとはいえない。 今後、遺伝子発現が増えていた遺伝子に関しては、実際にトランスフェクションさせたあとでPhenotypeをみることで薬剤耐性が獲得されたかどうか確認する。その後RNA干渉などで発現を減少させ、薬剤耐性が減少するかどうかも確認する。遺伝子発現が減少していた遺伝子に関しては、逆のことを行う。 そして、実際に薬剤耐性を確認した遺伝子発現に関しては、cell lineを作成後、ヌードマウスに移植しxenograftを作成後、薬剤耐性の獲得を確認、その耐性下に効果をもたらす新規分子標的薬の発見を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
In-vitroやIn-vivo実験が進んでいないため。
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