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2021 年度 実施状況報告書

胆道癌におけるCK2阻害薬感受性マーカーの同定と薬剤抵抗性機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K08449
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

宮部 勝之  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00543985)

研究分担者 吉田 道弘  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (20636328)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード胆管癌 / Silmitasertib / CK2阻害薬 / 薬剤抵抗性
研究実績の概要

Silmitasertibはセリン・スレオニンキナーゼの一種であるCK2の阻害薬であり、経口摂取可能な上、CK2 subunitのATP結合部位に競合的に作用することで、主にPIK3/Akt pathwayのリン酸化を阻害し腫瘍増殖を抑えるとともに、GEMやCDDPの抵抗性を司るDNA修復酵素MDC1およびXRCC1のリン酸化をも阻害し、抗がん剤感受性を増強させる効果も併せ持つ。申請者らが施行した胆管癌xenograftを使用した前臨床試験にて、SilmitasertibがGEM+CDDPへの上乗せ効果を認めた一方で、投薬経過中に薬剤抵抗性の獲得が観察された。また、2021年度にはSilmitasertibの胆管癌に対するPhase Ib/II臨床治験の結果が報告され、有望な結果であった。
すでにSilmitasertibおよびGEM+CDDPを投与されたマウス、GEM+CDDPを投与されたマウス、コントロールのマウスより得られたxenograftからそれぞれ3例ずつDNAを抽出しExome sequenceを行い、遺伝子変異などの違いを調べたところ、GEM+CDDPとGEM+CDDP+Silmitasertibの比較においてPGLYRP2、PCDH86などの遺伝子増幅も明らかにされた。
現在、胆管細胞株HUCCT1にSilmitasertibを低濃度から投与後、繰り返しSilmitasertibの濃度を倍増させて細胞継代し、抵抗性株を作成しながら、Exome sequenceにて明らかになった遺伝子を通常の胆管癌細胞株および薬剤耐性獲得胆管癌細胞株に遺伝子導入する、in vitroの実験を行っている。transfectionやRNA干渉を駆使しながら遺伝子導入した細胞株の機能解析を行い、薬剤耐性への関与が明らかになった時点でin vivo実験を予定していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

Exosome sequenceは順調に終了したが、その後の遺伝子解析やin vivo実験、およびSilmitasertib抵抗性胆管癌細胞作成に時間がかかっているため。

今後の研究の推進方策

このSilmitasertibは研究協力者であるMayo ClinicのDr. Mitesh J. Boradより、2021年にPhase Ib/II trialの結果が報告され、55名の解析可能な患者におけるintent-to-treat analysisにおいて、dose modification—median overall survivalは17.4か月、 median progression-free survivalは11.1 monthsであり、奏効率は32.1%であり、79.3%において胆管癌のコントロールが可能であった。Grade 3以上の重篤な副作用下痢、好中球減少、悪心、貧血、血小板減少であり、13%の患者が投与中止されたとのことである。少数例の結果ではあるが、有望な結果となった。
すでに行われたExome sequenceにおいて、Silmitasertib投与群では、PGLYRP2、PCDH86などの遺伝子増幅も明らかにされた。PGLYRP2はペプチドグリカン認識蛋白をコーディングしており、肝細胞がんの予後に関与しているとの報告があるため、胆管癌との関連も期待される。
現在、胆管細胞株HUCCT1にSilmitasertibを低濃度から投与後、繰り返しSilmitasertibの濃度を倍増させて細胞継代し、抵抗性株を作成しているが、Silmitasertibが9.5uM以上の濃度になるとHUCCT1が死滅してしまう。このため、抵抗性株作成に時間がかかっている。しかしながら、薬剤耐性獲得株だけでなく、通常の胆管癌細胞株も使用しながらin vitro実験を行っている。

次年度使用額が生じた理由

In-vitroやIn-vivo実験が終了していないため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Relevance of gene mutations and methylation to the growth of pancreatic intraductal papillary mucinous neoplasms based on pyrosequencing2022

    • 著者名/発表者名
      Asano Go、Miyabe Katsuyuki、Kato Hiroyuki、Yoshida Michihiro、Sawada Takeshi、Okamoto Yasuyuki、Sahashi Hidenori、Atsuta Naoki、Kachi Kenta、Kato Akihisa、Jinno Naruomi、Natsume Makoto、Hori Yasuki、Naitoh Itaru、Hayashi Kazuki、Matsuo Yoichi、Takahashi Satoru、Suzuki Hiromu、Kataoka Hiromi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 12 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-021-04335-z

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] IgG4-related Sclerosing Cholangitis Complicated with Cholangiocarcinoma and Detected by Forkhead Box P3 Immunohistochemical Staining2021

    • 著者名/発表者名
      Toyohara Tadashi、Nakazawa Takahiro、Zakharia Kais、Shimizu Shuya、Miyabe Katsuyuki、Harada Kenichi、Notohara Kenji、Yamada Tomohiro、Hayashi Katsumi、Naitoh Itaru、Hayashi Kazuki、Kataoka Hiromi
    • 雑誌名

      Internal Medicine

      巻: 60 ページ: 859~866

    • DOI

      10.2169/internalmedicine.5920-20

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2022-12-28  

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