小胞体ストレス(ERストレス)による肥満細胞活性メカニズム解析 ERストレス応答性転写因子であるATF4がAmphiregulinの遺伝子(AREG)を誘導しているという結果をふまえて、2020年度はLUVA細胞を用いたin vitro実験で、リコンビナントIL-12/23による刺激実験を行った。IL-12とIL-23の共刺激下のLUVA細胞の遺伝子発現をRNAシークエンスで行ったところ、GO解析において、ATP synthesis coupled electron transport、ATP synthesis coupled electron transportの発現亢進を認め、IgE非依存経路を介した肥満細胞 活性化が生じている可能性が示唆される結果であった。一方、ERストレス関連因子、TNF-αやAmphiregulinに変化はなく、IL-12/23と小胞体ストレスによる肥満 細胞活性化は直接的には関連しないことが示唆せれた。 また、クローン病の腸管肥満細胞におけるTNF・Amphiregulin発現解析を行うための手術検体は2022年度も集積を継続した。新型コロナウイルス感染症の影響や、治療薬の進歩(新規抗体製剤の保険承認など)による手術件数減少のために、目標症例数には達しなかった。そのために、過去のホルマリン固定・パラフィン包埋検体使用も含めた解析を行う方針とした。ホルマリン固定・パラフィン包埋手術摘出検体からのDNA・RNA抽出手技の確立に向けた検討を行い、概ねDNA・RNA抽出や免疫染色が可能となる見込みである。
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