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2020 年度 実施状況報告書

表在性非乳頭部十二指腸腫瘍の発癌機構の解明と、進展を予測する内視鏡診断体系の確立

研究課題

研究課題/領域番号 19K08463
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

澤田 武  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60345626)

研究分担者 八尾 隆史  順天堂大学, 医学部, 教授 (20243933)
鈴木 拓  札幌医科大学, 医学部, 教授 (20381254)
佐々木 泰史  札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70322328)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード十二指腸腫瘍 / 十二指腸腺腫 / 小腸癌 / 遺伝子変異 / DNAメチル化
研究実績の概要

非乳頭部十二指腸腺腫・早期癌 107病変を対象とした。これらの病変を、組織学的に小腸型腫瘍100病変と胃型腫瘍7病変に分類し、さらに小腸型腫瘍を小腸型腺腫、小腸型粘膜内癌に、胃型腫瘍を幽門腺腺腫、胃型粘膜内癌に細分類した。
DNA抽出後、全107病変についてバイサルファイト・パイロシーケンス法を用いて、ゲノムワイドなメチル化であるCpG island methylator phenotype(CIMP)の有無の検討を行った。また、十二指腸腺腫や(十二指腸進行癌を含む)小腸進行癌において変異が報告されている遺伝子を含む、75の候補遺伝子を探索するカスタムパネルを作成し、102病変についてターゲットシーケンスによる遺伝子変異解析と、コピー数変化の解析を行った。さらに、βカテニンの核内蓄積の有無について、免疫組織化学で検討を行った。
小腸型腫瘍と胃型腫瘍には臨床病理学的、分子学的に明らかな違いがあり、非乳頭部十二指腸癌には少なくとも2つの発癌経路が存在することが示唆された。小腸型腫瘍において、癌関連遺伝子のメチル化レベルは腺腫や正常粘膜と比較して粘膜内癌で有意に高かった。遺伝子変異はAPCに最も高頻度であり(55%)、次いでKRAS(13%)、LRP1B(10%)、GNAS(8%)、RNF43(6%)に変異が認められた。KRAS遺伝子変異は腺腫と比較して粘膜内癌で高頻度であった。βカテニンの核内集積は85%に、またWNTシグナル関連経路の変異は59%にみられ、腺腫形成におけるWNTシグナル経路の重要性が示された。さらに、従来の小腸癌における報告よりも、早期病変におけるAPC遺伝子変異が高頻度であったこと、また、腺腫と粘膜内癌ではAPC遺伝子変異の分布が異なっていたことより、十二指腸の発癌において多段階発癌の関与は限定的であることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

共同研究機関との連携も良好であり、症例の集積、DNA抽出、シーケンス解析、遺伝子メチル化解析、βカテニンの免疫組織化学に関して、問題なく行うことが可能であった。得られた結果を、2020年の日本癌学会総会で口頭発表し、Journal of Pathologyに論文として発表した。

今後の研究の推進方策

今後、得られた分子学的データと、免疫組織化学を含めた病理学的所見や狭帯域光観察(narrow band imaging, NBI)を併用した拡大観察を含めた内視鏡所見との関連を探索することにより、腺腫から癌への進展を予測する内視鏡診断体系を確立する。また、本研究で重要と考えられたEGFR受容体とEGFR経路関連分子に関して、進行癌も含め検討を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染症のため、旅費が不要となったため。新たな変異解析に用いる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Integrated genetic and epigenetic analysis of cancer‐related genes in non‐ampullary duodenal adenomas and intramucosal adenocarcinomas2020

    • 著者名/発表者名
      Ota R, Sawada T, Tsuyama S, Sasaki Y, Suzuki H, Kaizaki Y, Hasatani K, Yamamoto E, Nakanishi H, Inagaki S, Tsuji S, Yoshida N, Doyama H, Minato H, Nakamura K, Kasashima S, Kubota E, Kataoka H, Tokino T, Yao T, Minamoto T
    • 雑誌名

      The Journal of Pathology

      巻: 252 ページ: 330~342

    • DOI

      10.1002/path.5529

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 非乳頭十二指腸腺腫、粘膜内癌におけるゲノム・エピゲノムの統合解析2020

    • 著者名/発表者名
      澤田 武、佐々木泰史、太田亮介、津山 翔、八尾隆史、中西宏佳、山本英一郎、久保田英嗣、片岡洋望、鈴木 拓、時野隆至、源 利成
    • 学会等名
      第79回日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 非乳頭十二指腸腫瘍におけるDNAメチル化と遺伝子変異の統合解析2020

    • 著者名/発表者名
      澤田 武、太田亮介、津山 翔、八尾隆史、波佐谷兼慶、海崎泰治、中西宏佳、吉田尚弘、辻 重継、土山寿志、湊 宏、山本英一郎、久保田英嗣、片岡洋望、佐々木泰史、源 利成、鈴木 拓
    • 学会等名
      第16回日本消化管学会総会学術総会

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公開日: 2021-12-27  

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