研究課題
【方法】対象は肝細胞癌にて外科手術を施行した85症例(男/女:65/20、 平均年齢71歳)、背景疾患はB型17例、C型27例、アルコール関連13例、NAFLD 22例。肝癌手術標本(ホルマリン固定、 パラフィン包埋標本)よりプレパラートを作成し、CD68、 CD163、 CD8の各抗体との免疫反応をチラミドにてシグナル増幅させて蛍光マルチプレックス免疫組織化学染色(OPALTM:Perkin-Elmar)を行った。各標本を100倍視野で観察し、背景肝、腫瘍部より10視野ずつデジタル撮影した。各抗体に対する陽性細胞およびCD163陽性細胞の形態(円形、紡錘形)の判別は専用システム(inFormTM:Perkin-Elmar)の機械学習アルゴリズムを用いて自動解析した。【結果】CD163陽性・円形マクロファージ(円形CD163)の1視野あたりの数(背景肝/腫瘍内)は127個/194個であり、腫瘍内で有意に増加していた(P<0.05)。CD163陽性・紡錘形マクロファージ(紡錘CD163)は2993個/3246個、CD8陽性リンパ球(CD8)は141個/170個でいずれも有意差はみられなかった。また、円形CD163は腫瘍内CD8および無再発生存期間と有意に正の相関を示した(P<0.05)。一方、紡錘形CD163は無再発生存期間と負の相関を示した(P<0.05)。【結語】肝癌の免疫微小環境において、CD163陽性・紡錘形マクロファージ数は予後と逆相関していた。一方、CD163陽性・円形マクロファージはCD8陽性リンパ球と共に腫瘍内に存在して無再発生存の延長に寄与しており、同機序の解明が新たな治療開発につながる可能性が示唆された。
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肝胆膵
巻: 84 ページ: 51-56