研究課題
慢性肝疾患におけるサルコペニア(骨格筋量と筋力の低下)は、肝性脳症などの合併症の増加や、予後およびQOLの低下と関連する。また肥満や内臓脂肪の増加は、肝発癌のリスク因子である。本研究は、体組成解析を基盤とする慢性肝疾患患者に対する包括的治療戦略の構築を目標とする。本年度に報告した研究実績を以下に示す。カルニチンは肝硬変患者の予後を改善する(JPEN. 2022)。海綿骨スコア(TBS)の評価は、肝硬変患者の椎体骨折リスクの予測に有用である(J Clin Med. 2022)。SARC-F質問表は、慢性肝疾患患者に合併するサルコペニアのスクリーニングに有用である(J Clin Med. 2021、多施設共同研究)。握力低下は、肝硬変患者の不顕性・顕性肝性脳症の発症予測因子である(JPEN. 2021)。内蔵脂肪量の増加と高インスリン血症は、肝炎ウイルス陰性肝癌根治的治療後の再発リスクを高める(Cancers. 2021)。Stroop testは、不顕性肝性脳症の診断と顕性脳症の発症予測に有用である(Hepatol Commun. 2021)。Stroop testは不顕性肝性脳症の診断に有用である(Hepatol Res. 2021、多施設共同研究)。亜鉛欠乏症は、肝硬変患者の顕性肝性脳症の発症と予後を予測する(Hepatol Res. 2021)。特に肝硬変おける研究では、「肝硬変診療ガイドライン2020(改訂第3版)」にて改訂された栄養療法フローチャートのvalidation(769名のコホート)を行い、同フローチャートが患者の死亡リスクを層別化し、栄養療法の開始基準として適切であることを報告した。本結果は、同ガイドラインの2021年度Annual Review版(2022年3月18日更新)に引用されたことを申し添える。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (6件)
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