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2020 年度 実施状況報告書

Serrated polyposis症候群の原因遺伝子と発癌機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K08471
研究機関徳島大学

研究代表者

岡本 耕一  徳島大学, 病院, 講師 (60531374)

研究分担者 高山 哲治  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10284994)
中村 文香  徳島大学, 病院, 特任助教 (70793743)
六車 直樹  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 准教授 (90325283)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード鋸歯状ポリポーシス症候群 / serrated pathway
研究実績の概要

当院で鋸歯状ポリポーシス症候群(SPS)と診断した35症例を対象とした。男女比23:12、SPS診断時の平均年齢 61.1±9.8歳。大腸癌を合併したSPS症例16例のうち、13症例17病変に対し、RAS、BRAF、APC、β-catenin、p53遺伝子変異解析、MSI解析、免疫組織化学検査(p53、MLH1)を行った。SPSにおける大腸癌合併率は46%(16/35)であり、男女比11:5、大腸癌診断時の平均年齢は58.8±9.6歳であった。adenomaの合併率は74%(26/35)、個数中央値は1であり、adenomaを有する症例では大腸癌の合併率が有意に高かった。単変量解析では、その他に年齢、性、診断criteria、ポリープの分布、他臓器癌の既往などは有意差を認めなかった。癌を合併するリスクを多変量解析により検討したところ、同様にadenomaの存在が高リスク(OR30)を示した。大腸癌症例のSPS診断以降は、10mm以上のHP、5mm以上のSSL、TSA、adenomaを切除し、以降は1-2年ごとにフォローアップの方針としているが、現時点で新たな癌は認めていない。癌組織の遺伝子解析では、4病変がserrated pathwayのMSS癌、1病変がMSI-H癌、9病変がadenoma-carcinoma sequenceによる発癌が強く示唆された。SPSにおける大腸癌の合併率は46%と高かった。SPSにおけるadenomaの合併は64%と高く、大腸癌のリスク因子であることが示唆された。SPSに合併する大腸癌は、serrated-carcinoma pathway(29%)のみならず、adenoma-carcinoma sequence(53%)も少なからず存在し、SPのみならずadenomaも切除する重要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和2年度は当初の計画では、明らかに遺伝性を有するSPS症例及び家族の末梢血からDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いた全エクソームシークエンスを行い、遺伝子異常を同定する予定であった。しかし、現段階で35症例ではあるが、明らかに遺伝性を有するSPS症例を同定できていない。

今後の研究の推進方策

更にSPS症例を集積し、明らかに遺伝性を有するSPS症例を探索する。更に末梢血からDNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いた全エクソームシークエンスを行い、遺伝子異常を同定する。得られたシークエンス結果について、既報の日本人のエクソームの配列 (1,000人ゲノムプロジェクト等) と比較検討を行う。遺伝子に欠失やフレームシフト変異・ナンセンス変異、蛋白質の機能に影響を与えるようなミスセンス変異等の遺伝子の異常について、LOVDやClin Varなどのデータベースを用いて病的意義があるかどうかを検討する。また、得られた遺伝子異常とポリープや癌の体細胞変異を比較することにより、どのような機序 (パスウェイ) で発癌したかを明らかにする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021 2020

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Serrated polyposis syndrome に合併した大腸癌の臨床病理学的特徴ならびに発癌機序の検討2021

    • 著者名/発表者名
      中村文香、岡本耕一、影本開三、喜田慶史、田中久美子、北村晋志、佐藤康史、宮本弘志、六車直樹、高山哲治
    • 学会等名
      GI week 第17回消化管学会総会
  • [学会発表] Serrated polyposis syndromeにおける癌の発症リスクと発癌機序の検討.2020

    • 著者名/発表者名
      中村文香, 影本開三, 高山哲治.
    • 学会等名
      第28回消化器関連学会週間(JDDW)

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公開日: 2021-12-27  

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