本研究では、Apg-2による脂肪滴形成とリポファジーの抑制の可能性が示唆され、肝脂肪化に及ぼす分子シャペロンの役割の一端が示された。特に脂肪化を伴う肝がんはsteatohepatitic typeと言われており、肝がんで高発現するApg-2の脂肪化促進作用とリポファジー抑制が嫌気性解糖系に依存する癌細胞の代謝環境を調整している可能性がある。今後は、Apg-2自体の発現抑制だけではなく、Apg-2分子のシャペロン活性の標的蛋白を明らかにして、その会合を阻害する化合物の開発が重要であり、代謝薬としての抗ガン治療の補助療法となり得る。
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