研究課題
C型肝炎における血小板減少の病態形成には、自己免疫の関与が考えられている。 本研究では、C型肝炎患者の血漿または血清を用いてELISA法で抗トロンボポエチン受容体(TPOR) 抗体の検出、血漿TPO濃度の測定、精製IgGを用いた巨核芽球細胞の増殖アッセイにより、抗TPOR抗体が血小板減少に関与する病的な要因となるかについて解析を試みた。C型肝炎患者87例について抗TPOR抗体の検出を行い、11例 (12.6%) が陽性であった。C型肝炎患者を血小板減少 (10万未満/μL) の有無で分け、抗TPOR抗体陽性率の比較を行った。血小板減少27例中8例で抗TPOR抗体陽性 (29.6%)、血小板正常60例中3例で抗TPOR抗体陽性 (5.0%) となり、血小板減少例では血小板正常例に比べ抗TPOR抗体が有意に多く検出された (P=0.003)。また、C型肝炎患者検体87例について抗TPOR抗体の有無における血小板数の比較を行った。抗TPOR抗体陽性11例は抗TPOR抗体陰性76例と比べ、有意に血小板数が減少した (P=0.001)。さらに、血小板減少を伴うC型肝炎患者検体27例について抗TPOR抗体の有無における血小板数の比較したところ、抗TPOR抗体陽性8例は抗TPOR抗体陰性19例と比べ、有意に血小板数が減少した (P=0.046)。一方、抗TPOR抗体はTPO濃度との関連は見られなかった。抗TPOR抗体陽性例及び抗体陰性例からIgGを精製し、それらを巨核芽球細胞に添加して、細胞増殖を検討した。その結果、抗TPOR抗体陽性IgGは抗体陰性IgGに比べ、巨核芽球細胞の増殖が有意に抑制された。これらの結果から、C型肝炎患者の抗TPOR抗体は巨核球系細胞の増殖の抑制や血小板数の減少に関与している可能性が示唆された。
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Platelets
巻: 34 ページ: 2161498
10.1080/09537104.2022.2161498
Annals of Hematology
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