研究課題/領域番号 |
19K08483
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
渡邊 博之 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (80323145)
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研究分担者 |
飯野 健二 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (30400485)
佐藤 和奏 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (50748283)
飯野 貴子 秋田大学, 医学部附属病院, 助教 (70620871)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 微小循環、血管超音波、高安病、重症下肢虚血 |
研究実績の概要 |
本年度は、Superb Micro-vascular Imaging (SMI)を用いた微小血管可視化の臨床応用を目的とし、以下の研究成果を発表した。 1)高安動脈炎の局所炎症の活動性をFDG-PET/CTで評価し、活動性ありと判定した症例で、炎症随伴性の動脈壁vasa vasorum の増生を確認した。この結果は、Eur Heart J Cardiovascular Imaging に掲載、発表した。その後さらに症例数を増やし、FDG-PET/CT 陽性をGold standard とした場合、SMIによる動脈壁血管増生の活動性検出率が高く、FDG-PET/CTに代わるうる安価で簡便な評価方法となることを学会発表した。 2)内皮機能検査法として反応性充血を利用したSMI-based vascular index (SMI-VI)を提唱し、確立した内皮機能の指標であるFMDと若年健常者との間で良好な相関を示した。この結果も循環器学会で発表した。 3)重症下肢虚血の治療効果判定指標としてSMI-VI の有用性を検証した。診断が確定した重症下肢虚血症例約20名と対照群約10名のangiosome 分布に基づいた安静時foot perfusion をSMI-VI で評価し、重症下肢虚血検出患者では健常群に比べ明らかにSMI-VIが低下していることを明らかにした。次に重症下肢虚血患者のEndo Vascular Treatment 後 foot perfusion をSMI-VI、ABI、SPP で評価し、ABIに対する有益性、またSPP の欠点である最虚血部の評価がSMI-VI では可能であることを明らかにした。さらに、治療後のSMI-VI の改善が潰瘍病変の治癒予測になることも発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①内皮機能検査法としてのSMI-based vascular index (SMI-VI)の有用性の検討に関しては、若年健常者での検討は順調に行われ、仮設通り良好な相関がみられているが、高齢者での検討例がまだ少ない。②閉塞性動脈硬化症(ASO)でのSMI-VIの有用性の検討に関しては、主に重症下肢虚血例での血管内治療後効果判定でその有用性を実証できた。今後症例数を増やす必要がある。また、スクリーニング指標として健常者との違いなどについては、いまだ症例数の不足が課題として残る。③高安動脈炎の局所炎症の活動性評価としてのSMIの有用性は、症例数は原疾患の性格上少なく統計学的にはまだ有意義を証明していないが、症例報告として学術誌に発表した。④頚動脈プラーク内新生血管のSMIによる描出とその不安定プラークの指標としての有用性の検討に関しては、頚動脈内膜剥離術の手術件数が予定していたものより少なく、目標とする病理標本数を確保できなかった。次年度以降の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
①内皮機能検査法としてのSMI-based vascular index (SMI-VI)の有用性の検討に関しては、高齢者での検討例を増やす。また心不全症例での検討を開始し、この指標が心不全予後指標になることを明らかにしていきたい。②閉塞性動脈硬化症(ASO)でのSMI-VIの有用性の検討に関しては、これまで比較的順調に遂行できているため、このまま症例数を増やしていきたい。③高安動脈炎の活動性評価としてのSMIの有用性に関しても、発症数自体が少ないという問題点はあるが、着実に症例数を増やしていきたい。④頚動脈プラーク内新生血管のSMIによる描出とその不安定プラークの指標としての有用性の検討に関しては、頚動脈内膜剥離術の手術件数が予定より少ないため、方針を少し変更し、プラーク病変自体をshoulder 2部位、プラークコア1部位の計3部位にわけ、より詳細に検討を重ねることで、不安定プラークの指標になるという仮説を証明していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
③高安動脈炎の活動性評価に関する研究と、④頚動脈プラーク内新生血管の不安定プラークの指標としての有用性に関する研究では、血管炎症マーカーを測定しデータを解析することにしていたが、当初予定していたほど症例数が集まらず、統計の解析ソフトも購入しなかったため、次年度使用が生じた。また①内皮機能検査法としてのSMI-based vascular index (SMI-VI)の有用性の検討と②閉塞性動脈硬化症(ASO)でのSMI-VIの有用性の検討に関しても、検討例が当初より少なかったため、FMDやskin perfusion pressure の検査諸費用が予定より使用せず、次年度使用が生じた。
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