研究課題/領域番号 |
19K08485
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
古内 亮 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (60750073)
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研究分担者 |
清水 逸平 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (60444056)
南野 徹 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90328063)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 細胞老化 / 褐色脂肪 / 血管内皮 / 細胞除去 |
研究実績の概要 |
本研究課題において活発な代謝臓器である褐色脂肪の細胞老化に着目し、細胞老化抑制もしくは選択的細胞老化除去による褐色脂肪恒常性制御機構の確立に挑んでいる。 1)褐色脂肪の細胞老化抑制因子として予備的検討の結果から長寿遺伝子として知られるNAD-dependent protein deacetylase sirtuin-1(SIRT-1)の役割に着目した。細胞特異的マウスを作製し機能評価を実施している。褐色脂肪細胞特異的SIRT-1 KOマウスを作製し機能評価を実施したが、全身の代謝機能、寒冷負荷耐性や褐色脂肪の形態・機能などに褐色脂肪特異的SIRT-1欠損による有意な変化は認められなかった。このことは褐色脂肪細胞ではない周辺細胞でSIRT-1が保護的に働いていることを示唆する。次に内皮細胞細胞でのSIRT-1の役割を明らかにするため内皮細胞特異的SIRT-1 KOマウスの作製を行い、現在機能の解析中である。 2)選択的老化細胞除去による老化関連病態の改善アプローチとしてハーブ成分senolytic compound R(SC-R)を得た。SC-Rの肥満マウスへの投与は全身の代謝不全を改善し、脂肪組織のSA-β-gal染色や老化マーカーp53発現の解析から老化度を低下させることが示唆された。SC-Rの作用機序を明らかにするためRNA-seq解析を実施した。その結果、自然免疫系による異常細胞の除去システムから老化細胞が保護される機構が存在すること、SC-Rはその保護機構の破綻を介した作用であることが示唆されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度予定していたSIRT-1の細胞特異的KOマウス作製を進めること、その機能を解析することができた。褐色脂肪細胞特異的SIRT-1 KOマウスの表現型は認めらず褐色脂肪において保護的には働かないことが示唆された。それを踏まえて内皮細胞特異的SIRT-1KOマウスを作製し繁殖を進め解析できるところまで達成できている。今年度は同マウスの機能解析を行い機序の解明を進めていく予定である。 SC-Rの網羅的解析から新規の老化細胞の制御機構の存在が示唆される結果を得られた。この発見は新たな老化細胞の治療法につながるものである可能性があり、詳細なメカニズムの解析を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
1)細胞老化抑制因子による老化制御 内皮細胞特異的SIRT-1KOマウスに高脂肪・通常餌を給餌し表現型を解析する。具体的にはグルコース負荷試験、インスリン負荷試験、寒冷負荷試験や呼気代謝測定を行う。また、褐色脂肪の組織像、血管密度の解析、電子顕微鏡観察による細胞の微細構造の観察を行い内皮細胞におけるSIRT-1の欠損が褐色脂肪に与える影響を明らかにする。 2)選択的老化細胞除去による老化制御 SC-Rによる老化制御効果を確認するため老化モデルマウスを用い解析する。加齢マウス、ApoE KOマウス、Floxed MDM2 KOマウスなどの老化病態を示すマウスへSC-Rを投与し全身の代謝機能、運動機能等を解析し老化制御の効果を解析する。 作用機序として自然免疫系の異常細胞の除去システムと老化細胞の関連について解析を進める。フローサイトメトリーや免疫染色等の解析手法で老化細胞が除去システムから逃れていることの確認をする。そのうえで中和抗体などの治療法が可能か検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ほぼ予定通り利用させて頂いたが残金が生じた。 次年度、動物モデルによる中和抗体の治療効果の検討を実施するため、その購入費用に利用させていただこうと計画している。
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