研究実績の概要 |
「研究目的」本研究では、ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)および申請者らが独自に作製した血管内皮特異的にMnSODを発現するeMnSODTgマウス (BBRC 2008)と動脈硬化発症モデルマウスのapolipoprotein-E欠損マウス(apoE-/-)を用い、糖尿病大血管合併症の発症機序を解明し、mtROSや転写因子Nrf2を標的とした新規合併症治療法の開発を目指す。 「結果」In vivo:計画;apoE-/-,MnSOD+/-を作成し、2群(apoE-/- vs apoE-/-,MnSOD+/-)12週齢からHFDを8週間負荷し、随時血糖値・ipGTT、 ipITT、血清脂質評価、大動脈弁輪部および胸部大動脈のOil red O染色を評価 結果;HFD負荷による随時血糖、体重変化、ipGTT、血清脂質組成に2群差は認めなかった。プラーク面積(n=4)では、apoE-/-に比しapoE-/-,MnSOD+/-は有意(P=0.03)に減少を認めた。 In vitro: 計画;HAECを用いて、高血糖培養(25mM Glu濃度x24h)下およびLPS刺激でのmtROS(Mito Tracker Red)、接着分子(eNOS, IL-6, MCP-1)mRNA発現を評価。結果;高血糖培養では、HAECにおいてもmtROS増加を確認できたが接着分子の変化は認めなかった。LPS(100ng/ml)刺激では、mtROS産生増加を確認し、MnSOD過剰発現にてLPS によるmtROS産生増加は抑制された。接着因子では、MCP-1 mRNAのみがLPS刺激による増加をMnSOD過剰発現で有意(p:0.04)に抑制した。
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