研究課題
これまで野生型トランスサイレチンアミロイドーシス(ATTRwt)に対する治療法の開発は、トランスサイレチン(TTR)を安定化することで新たなアミロイドの器質を産生させないことや、沈着したアミロイドを抗体治療により除去するなど、TTRを治療ターゲットとするものばかりであった。一方ATTRwtの主たる沈着臓器である心臓側から見た治療法の開発は皆無であった。大阪市立大学循環器内科では左室肥大があり心筋症を疑われた患者は、心臓カテーテル検査時にほぼ全例心筋生検を施行している。どのような心臓にTTRが沈着しやすいのか?TTR沈着を促進する心臓側の因子は何なのか?という本研究課題の核心をなす学術的「問い」を明らかにするため、令和顔年度は心筋生検組織のmRNA・マイクロRNA・タンパク発現をマイクロアレイ及びプロテインアレイにて網羅的に解析することを目標とした。令和元年度は当院に心筋症疑いで入院となった患者のうち49例の心筋生検を行い、その中から3例の心アミロイドーシス患者の確定診断に至った。確定診断はコンゴレッド染色のみならず、TTR免疫染色とTTR遺伝子検査を併用して行った。これら心筋症疑いの症例は基本的な血液検査に加え、高感度トロポニンTの測定も全例で行っている。また心筋生検を行った全症例は心臓MRI 検査を施行しており、近年心筋症の鑑別に有用であることが報告されているT1マッピング解析を行い、native T1値と細胞外容積の定量を行った。心アミロイドーシスと診断された3症例と年齢・性別を合わせた対照群となる左室肥大患者の心筋生検サンプルから抽出したタンパクとmRNAは-80度で保存しており、令和2年度にプロテインアレイとマイクロアレイを用いて網羅的解析を行う予定である。
3: やや遅れている
網羅的解析を行うためには心アミロイドーシス患者の心筋生検サンプルを少なくとも4症例を解析する必要があると試算している。追加の1症例の心筋生検サンプルが得られ次第、プロテインアレイとマイクロアレイを用いて網羅的解析を行う予定である。
追加の心アミロイドーシス疑いの症例の心筋生検はすでに予定されているため、心筋生検サンプルは本年度の早期に得られる予定である。得られたmRNAサンプルはマイクロアレイにて、タンパクサンプルはiTraq法によるプロテインアレイを行い発現を比較検討する。候補タンパクが同定できれば、速やかにin vitroの実験と、遺伝子改変マウスの作製を並行して進める予定である。
網羅的解析を行うためには心アミロイドーシス患者の心筋生検サンプルを少なくとも4症例を解析する必要があると試算している。追加の1症例の心筋生検サンプルが得られ次第、プロテインアレイとマイクロアレイを用いて網羅的解析を行う予定である。追加の心アミロイドーシス疑いの症例の心筋生検はすでに予定されているため、心筋生検サンプルは本年度の早期に得られる予定である。得られたmRNAサンプルはマイクロアレイにて、タンパクサンプルはiTraq法によるプロテインアレイを行い発現を比較検討する。候補タンパクが同定できれば、速やかにin vitroの実験と、遺伝子改変マウスの作製を並行して進める予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (1件)
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