様々な心疾患の急性期に出現する心筋浮腫は、非常に大きな臨床的意義を有する病態である。急性期における心筋浮腫の診断は困難で、急性心筋梗塞、心サルコイドーシス、アミロイドーシスなどの重症心疾患の急性期に出現するが、浮腫部分は適切な治療が行わないと時間経過とともに繊維成分に置換され、不可逆的な心筋障害を起こすことから、心筋浮腫の診断は非常に大きな臨床的意義を有する。 非線形超音波法は、射出された超音波により標的内で副次的に生成される非線形信号を捕捉し、画像化する画像診断法である。我々が経験した臨床例の検討から、心筋浮腫部位では非線形信号の低下が示唆された。本研究の目的は、非線形超音波法を用いた心筋浮腫の診断である。ブタ心臓浮腫モデル、非線形超音波法、人工知能を用い、心筋浮腫特有の非線形信号パターンを抽出し、さらに非線形評価指数を併用し、浮腫の存在と程度を診断するアルゴリズムを作成する。臨床試験から非線形超音波法による心筋浮腫診断の有用性を明らかにする。本研究から非線形超音波診断法による心筋浮腫診断が可能となれば、急性期にベッドサイドで心筋浮腫の診断が可能となるため、心疾患診療に大きな福音をもたらすことになる。 我々は豚心臓を用いて、冠動脈に生理食塩水と造影剤を注入、心筋浮腫を作成し、断層像と超音波エラストログラフイーを用いて、心筋の厚さ及び心筋の硬さの変化を測定した。 心筋浮腫作成前と浮腫作成後では、心筋の硬さ、心室の肥厚は有意に増加した。 また、浮腫心筋の病理組織を作成し、心筋浮腫であること確認した。
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