2021年度は、研究目的①in vitroおよびin vivoにおける近赤外線の波長に吸収域を有する金ナノ粒子のマクロファージへの取り込みの検証に関する実験のうち、まずin vitro実験を進めた。近赤外線の波長に吸収域のある金ナノ粒子と赤外線の波長に吸収域のある金ナノ粒子のマクロファージ細胞への取り込みついて、電子顕微鏡およびマイクロCTを用いて評価を行った。マクロファージ細胞と3種類の金ナノ粒子を各々24時間共培養した。その後電子顕微鏡でマクロファージ細胞を観察したところ、3群共にマクロファージ細胞内への取り込みが確認できた。しかし、共培養を行ったマクロファージ細胞をマイクロCTで撮影したところ、共培養したマクロファージ細胞のCT値は3群共にマクロファージ細胞のみのCT値と同等であった。近赤外線レーザーを用いた細胞死を誘導するために十分な金ナノ粒子の取り込みが見られていないため、培養時の金ナノ粒子の濃度を高くする必要があると考えられた。またin vivo実験についても検討を行った。自己免疫性心筋炎モデルマウスを作成し、昨年度と同様に金ナノ粒子の静注前、静注48時間後にマイクロCT撮影を行ったが、炎症部位への金ナノ粒子の集積についてはCTによる判定は困難であった。摘出した心臓に対して免疫染色を行うと、心臓へのマクロファージの浸潤を確認できた。しかし、電子顕微鏡による観察ではマクロファージの数が少なく、金ナノ粒子の取り込みについて評価が困難であった。
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