研究課題
本研究では以下①~④の計画をしている。①コレステロール代謝におけるMD-1 の機能と炎症反応との関連をあきらかにする。②LDL受容体欠失マウスを購入してMD-1欠失マウスとかけあわせ、動脈硬化への影響を調べる。③高脂肪食負荷に伴う血清MD-1濃度変遷と脂質の濃度や種類を解析する。④抗MD-1抗体投与で動脈硬化や高脂肪食による肥満が防げるか検討する。今回は研究初年度ということで、時間がかかりそうな②や③④の準備実験をまず進めている。②に関しては現在順調に進めている。LDL受容体欠失マウスは海外から購入せざるを得ず搬入までやや時間がかかったが、現在はマウスの増殖やかけ合わせ、タイピングとも順調に進んでおり実験可能な匹数まで継代していく予定である。匹数が得られれば高脂肪食負荷を行い血中コレステロールなどの生化学検査や体重測定、摂餌量測定などを予定している。同時に③の検討も予定している。また④の準備として2種類の抗MD-1抗体の遺伝子配列の同定は完了し、ベクターに組み込んで抗体遺伝子を作製することができたため、これらをMD-1機能解析にも用いることができるようになった。このためもしMD-1欠失による動脈硬化に影響がある結果が動物実験で得られれば、④の実験に取り掛かる予定である。また③の発展としてヒトMD-1ELISAシステムも構築でき、ヒト検体での解析を進めている。ただし特異性の点で問題がないか、LC/MSなどでの解析もあわせて検討をさらに進める。なお今回のテーマの脂質に関連した発展研究として1本論文発表できた(Int,Immunol.,2020,in press)。
2: おおむね順調に進展している
コロナ感染激増により海外からの試薬・抗体搬入が遅れたり、自粛推進のため研究・教育業務の短縮、およびICT授業配信準備など学生への教育対策に時間がとられたりしたことなどが関連して、解析など一部の点でやや遅れている。しかし実績の概要で述べたように進められる点は進んだので総合的にはおおむね順調、とした。
本研究の本題である、『MD-1は脂肪の蓄積やそれによる慢性炎症の誘導、動脈硬化の発症などに関与するか?』に関してダブルノックアウトマウスが増えたら引き続き解析を進めてゆく。細胞レベルでのコレステロール代謝に関しては一貫性がやや乏しくなってきたため細胞の種類を変えて行うか、マウス個体レベルでの解析を優先に進め、その結果に応じて行うなどの対策を考え講じていく。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)
Int Immunol.
巻: in press ページ: in press
dxaa005 [pii] 10.1093/intimm/dxaa005 5709763 [pii]
J Biol Chem
巻: 294 ページ: 6659-6669
10.1074/jbc.RA118.006375 RA118.006375 [pii]
Glycoforum
巻: 22 ページ: -
https://doi.org/10.32285/glycoforum.22A15
エンドトキシン・自然免疫研究
巻: 22 ページ: 79-82
巻: 22 ページ: 72-78
http://www.aichi-med-u.ac.jp/M-I2/index.html