研究課題
本研究ではMD-1が動脈硬化発症に影響を及ぼすのか明らかにすることを目的とし、以下①~④の計画で研究を行った。『①コレステロール代謝におけるMD-1 の機能と炎症反応との関連をあきらかにする。②LDL受容体欠失マウスを購入して MD-1欠失マウスとかけあわせ、動脈硬化への影響を調べる。③高脂肪食負荷に伴う血清MD-1濃度変遷と脂質の濃度や種類を解析する。④抗MD-1抗体投与で動脈硬化や高脂肪食による肥満が防げるか検討する。』このうち今年度は①~③を中心に行った。①:骨髄誘導性マクロファージを24時間培養後細胞上清中のコレステロールエステル含有量をTriple TOF/MS解析したところ、当初MD-1欠失マウス由来細胞ではワイルドタイプマウス由来細胞に比べて減少していたが、再現性が得られなくなった。いっぽう脂質構成成分である血清脂肪酸濃度を測定したところ、B6/MD-1欠失マウスではB6/MD-1 ヘテロマウスに比べていくつかの脂肪酸の濃度が低いことが分かった。しかしながら総合すると顕著な脂質代謝異常は認められなかった。②及び③:MD-1かつLDL受容体二重欠失マウスおよびMD-1ヘテロ/LDL受容体欠失マウスとで高脂肪食負荷を半年間行ったところ、摂餌量に有意差はないものの血中の総タンパク量や総コレステロール量、LDLコレステロール、中性脂肪などで二重欠失マウスのほうが有意に上昇していた。また肝臓へのリンパ球浸潤が二重欠失マウスではMD-1ヘテロマウス/LDL受容体欠失マウスに比べるとより多く認められ、リンパ球が肝臓へ浸潤しやすい状況にあることがわかった。現在この理由についてさらに解析を進め、論文投稿準備を行っている。また本解析に伴い、MD-1の糖鎖修飾が会合分子RP105の細胞表面発現に重要であることが明らかになり、論文発表を行った。
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FEBS Letters
巻: in press ページ: in press
10.1002/1873-3468.14619
巻: 596 ページ: 3211-3231
10.1002/1873-3468.14452
http://www.aichi-med-u.ac.jp/M-I2/index.html