研究実績の概要 |
特発性心室細動(IVF)患者184名(平均年齢36歳,男性61%)に対して全Exon sequencing(WES)解析を実施した結果を用いて、東アジアおよび日本人の集団データベースにおいて稀な(MAF<0.01)一塩基置換バリアント(SNV)あるいはスプライシングや非コーディングRNA遺伝子に影響を与える可能性があるバリアントを抽出した。 さらに心血管疾患に関連する295遺伝子(Invitae Cardiology Gene Panel)における病的:Pathogenic (P)/Likely pathogenic (LP)SNV、非心血管関連遺伝子のP / LP SNVを評価した。 結果: 184人のIVF患者から合計55,107個のまれなSNVが検出された。そのうち1,581個は心血管関連遺伝子に存在し、最終的に27のP / LP変異が28人(15%)の患者に同定された。 HGVD公開データベース上の日本人1,210人と比較して、IVF患者では心血管関連遺伝子なかでも不整脈関連および心筋症/筋疾患関連遺伝子上のP/LP SNVが有意に多く認められた。さらに心血管関連遺伝子上のP/LP SNVを全く保有していない患者105例において、非心血管関連遺伝子のP/LP SNVが合計136個認めれれた。 結論:IVF患者の約15%が心血管疾患に関連する遺伝子に何らかの病的またはその可能性のあるSNVを有していたが,その多くは致死性心室性不整脈に直接関連しているのではなく,心筋症や神経筋疾患に関連する可能性のある遺伝子であり、IVFと初期には診断された患者は必ずしも不整脈疾患ではなく、心筋症の初期や神経・筋疾患など非心臓疾患との合併疾患が少なからず含まれていることが示唆される。
|