研究課題/領域番号 |
19K08509
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
都島 健介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50436482)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 超高圧電子顕微鏡 / 電子線トモグラフィー / インスリンシグナル / 心筋微細構造 / APEX2 |
研究実績の概要 |
(1)超高圧顕微鏡による電子線トモグラフィー技術を用いた心筋組織の3次元微細構造解析技術を開発 これまで心筋の微細構造は透過電子顕微鏡(TEM)を用いて解析されてきた。TEM 法は、非常に高い分解能が得られるものの、電子線が透過できる厚さが0.1μm以下という制限が存在するため、マイクロメートルのスケールで三次元構造解析を行うことは困難であった。超高圧顕微鏡を用いることで、0.3μm, 0.5μm, 0.8μmの厚さのマウス心筋試料もZ帯、I-band、A-band、M-band、ミトコンドリア、T管-筋小胞体構造が、3次元構築に耐えうる解像度で描出できることが確認され、実際に心筋Z-bandの3次元構築画像も作成し、今までにない厚みの立体画像の構築に成功している。また、厚みのある心筋試料の観察は当初予想していた3次元観察の幅を広げるのみでなく、従来の電子顕微鏡では捉えられなかった構造の発見にもつながっており、今後の新規構造体の機能解析も計画する。
(2)APEX(アスコルビン酸ペルオキシダーゼ)による生体心筋細胞内分子の標識および電子顕微鏡観察技術の構築 心臓のインスリンシグナルの時空間制御機構を解析するために、インスリンシグナル分子のAKT1およびAKT2と電子顕微鏡用標識蛋白であるAPEX2との融合蛋白を心筋特異的に発現した遺伝子改変動物を作成した。心筋でのAKT1およびAKT2の心筋での局在を、(1)で開発した電子線トモグラフィー技術を用いてナノメートルレベルの解像度で撮影する技術を開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス感染拡大による大学の研究活動制限により、遺伝子改変マウス作成の遅延、名古屋大学との共同研究遅延により、当初の計画よりも進行が遅延している。論文作成、投稿は、最終年度に持ち越されている。
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今後の研究の推進方策 |
電子顕微鏡用の標識蛋白が導入された心臓組織の染色の最適化を行っているところである。染色技術の最適化が行われてから、インスリンシグナル分子、筋小胞体膜タンパクなどのAPEX2プローブを作成し、3次元構造の解析を展開していく。本年度中に、今までの成果をまとめて論文報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初より電子顕微鏡観察の開始が遅れたため、施設使用料が当初計画よりも減少した影響などが考えられる。本年度の、電子顕微鏡使用量などに充当する予定。
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