本研究課題では以下の2つの研究課題に取り組んだ。 (1)電子顕微鏡用に作成された標識タンパクAPEXをアデノ随伴ウイルスを用いて心筋に導入し心筋組織で微細構造を標識すること PDZD8ーAPEX2の融合蛋白を作成し、HEK293T細胞に導入したところ、電子顕微鏡で小胞体膜を標識できることが確認された、アデノ随伴ウイルスを作成し心筋に導入したところ、心筋細胞の内在性のペルオキシダーゼ活性が高く、内因性のシグナルと導入した標識蛋白のシグナルが区別できず、APEX2標識は現時点で心臓組織でうまく標識することができていない。心臓のペルオキシダーゼ活性が高くバックグランドが高いため、蛍光蛋白による標識を行いCLEMが応用できないか、今後検討していく。 (2)超高圧電子顕微鏡を用いて、通常より厚い試料の3次元微細構造のイメージング 通常の電子顕微鏡では60-100nm程度の厚さの制約があり、細胞内構造の全体像を捉えることは難しい。超高圧電子顕微鏡を用いて厚い切片を観察することで、通常の薄い切片では観察が難しかった細胞内の小胞構造の全体像を高い解像度で描出することが確認され、心筋のエクソソームが数珠状のつながり分泌蛋白質を放出しているところが観察された。また、厚い心筋切片の観察により、今までは見えなかった構造体の発見にもつながっており、Z-bandに沿って、線維性構造と蛋白質が集族している構造体が認識された。
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