研究課題/領域番号 |
19K08512
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
池主 雅臣 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40303151)
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研究分担者 |
齋藤 修 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40752457)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高周波アブレーション / 不整脈 |
研究実績の概要 |
冠動脈灌流によって拍動収縮する心筋切片モデルを用いて、心筋興奮(局所電位、興奮閾値、興奮伝搬)・工学電気指標(電流・電圧・インピーダンス)・超音波画像情報をモニターしながら高周波通電が施行できる実験系を構築した。この実験系を用いて、通電中モニター指標と、通電後組織変化の関連を連続評価する手法を構築する研究を進めている。 深部心筋から生じる重症不整脈を高周波カテーテルアブレーションで安全・効果的に治療するためには、標的心筋と周囲心筋に恒常的な組織変化を誘導することが重要となる。 しかし実臨床では高周波カテーテルアブレーションで形成される焼灼傷を直接確認することはできない。また拍動収縮が停止した心筋を用いる従来の水槽実験系では、不整脈発症器質となる心筋興奮を評価することができない。我々の実験系はこれらの課題に適応できる工夫が施されており、現在データ収取を進めている。 深部心筋を焼灼するためには従来のUnipolarモードよりもBipolarモードが適しているが、致死的合併症を併発するスチームポップを回避する事が必要である。これまでの研究結果から、トータルインピーダンスの変化、心筋壁厚さ、アブレーションカテーテル接触圧、通電時間が安全効果的な焼灼に重要であることを確認し、一部の成績は関連学会と専門誌に報告した。 高周波通電時に生じる抵抗加熱効果と伝導加熱効果を最大活用して、心筋組織を恒常的に修飾する至適通電モードに関して、カテーテルイリゲーションフローで冷却される心筋表面の安定焼灼には一定の通電時間が必要であるとの初期成績を学会発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果を2021年3月の日本循環器学会総会で発表し、一部の成果は海外学術誌(journal cardiovasc electrophysiol, 2020)に論文発表した。現在はさらなるデータ蓄積と分析を進めると共に、実験プロトコールを概ね予定通りに進めている。
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今後の研究の推進方策 |
独自に開発した(冠動脈灌流拍動心筋実験系)を用いて、臨床治療と同様の心筋電気生理情報を取得しながら、高周波通電による心筋焼灼効果を可視化して研究を推進する。 心筋焼灼効果の恒常性について、局所刺激閾値の心内分布、深部心筋温度、超音波画像をもとにした評価を進める。高周波通電回路に組み込んだ測定機材から得られる工学電気指標を解析して、心筋深部焼灼に用いる通電モードの安全指標(至適カットオフ値)を設定するとともに、焼灼傷の大きさ・深度を予測するための技術の構築に向けて研究を展開する。
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