研究課題/領域番号 |
19K08514
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田浦 大輔 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (10558612)
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研究分担者 |
曽根 正勝 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (40437207)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | iPS細胞 / 血管内皮細胞 / ナトリウム利尿ペプチド |
研究実績の概要 |
当該年度は、ヒトiPS細胞からの血管細胞誘導技術の応用研究として、ヒト血管分化過程におけるナトリウム利尿ペプチドの発現、特にCNPとその受容体の発現について検討した。同時に血管においてCNPと競合的に作用すると考えられるエンドセリン1およびその受容体の発現も検討した。これらの検討結果は、ヒトの血管に対するCNPおよびエンドセリンの作用を考える上で貴重な結果と考えられ、これを報告した。 他施設との共同で実施している血管関連の疾患特異的iPS細胞を用いた研究では、notch3の遺伝子異常によって引き起こされる、遺伝性の血管関連疾患であるCADASIL患者から樹立した疾患特異的iPS細胞の解析につき、論文報告することができた。この研究では、我々の誘導系を用いて、iPS細胞から誘導した血管内皮細胞のみならず、壁細胞についても解析し、CADASIL iPS細胞由来壁細胞が、正常iPS細胞由来壁細胞と異なる性格を示すことを明らかにし、CADASILの病態解明の手掛かりとなる知見が得られたと考えている。 これらの研究成果を礎とし、現在も、他疾患特異的iPS細胞の解析他を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、これまでに確立したヒトES/iPS細胞からの血管細胞誘導技術を、血管関連病態解明に応用することを主目的としている。今年度は、他施設との共同研究にて実施してきた、CADASIL患者から樹立したiPS細胞の解析研究の論文化に成功した。この成果はCADASILの病態理解に繋がるものであり、十分な成果であると考える。 また、この血管細胞誘導技術を用いて、未分化状態のES/iPS細胞から血管細胞へと分化する分化過程で、心血管ホルモンがどのように発現するかを検討することで、これら心血管ホルモンが、ヒトの血管発生、分化に影響を与えうるのかどうかも解析している。この研究の一端として、今年度は CNPとエンドセリン、さらにその受容体に着目して解析し、その解析結果を報告することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、血管関連疾患特異的iPS細胞解析として、遺伝性のある高安病患者から樹立したiPS細胞を用いた研究を進める。また、我々の血管細胞誘導システムにおける、心血管ホルモンおよびその受容体発現解析に関して、すでに論文化したCNP/エンドセリン以外の心血管ホルモンについても、解析結果をまとめ、論文化することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
生じた次年度使用額は微額であり、消耗品で使用する予定である。使用計画に変更は生じない。
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