研究課題
当該年度は、ヒトES/iPS細胞からの血管細胞分化誘導技術の応用研究として、昨年度に引き続き、血管細胞分化誘導における心血管内分泌ホルモンの意義につき、検討を進めた。特にC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)およびその受容体の発現に関する研究を進めた。未分化ES/iPS細胞から、血管内皮細胞および壁細胞に分化する過程で、CNPがどのように発現するかを、エンドセリンとの対比にて検討し、これらの研究成果は2020年9月にpublishすることに成功した。また、共同研究として、ヒトiPS細胞から腎臓への分化誘導研究に関し、血管細胞誘導技術を提供したが、この成果についても2020年4月にpublishできた。血管関連疾患特異的iPS細胞を用いた解析研究では、昨年度のCADASIL-iPS研究に引き続き、現在、母、娘ともに高安病を呈し、その双方から樹立したiPS細胞を用いて、高安病の病態解明研究を実施中である。若年で重症冠攣縮性狭心症を来した患者から樹立したiPS細胞を用いた検討も実施したのだが、こちらは、遺伝子異常を同定することができず、現在、解析を中断している。
2: おおむね順調に進展している
研究を継続することで当該年度に2本の論文公表に至った。現在もヒトES/iPS細胞からの血管細胞分化誘導技術を基盤技術として、研究を勧めており、研究計画に沿って成果を得られていると判断する。
現在、遺伝的素因のある高安病患者から樹立したiPS細胞を用いた解析を実施中であり、個の解析を進める。また、ヒトES/iPS細胞から血管細胞へと分化する過程における各種心血管ホルモンの発現およびその意義についての研究についても引き続き継続することで論文成果化を目指す。
当該年度に関しては、次年度に円滑に研究を遂行する資金を確保するために、できる限り次年度使用額を生じるように算定した。次年度の配分は元々少なく計画しており、この次年度使用額に関しては、次年度ですべて使用する。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)
Cell Report
巻: Apr 7;31(1) ページ: 107476
10.1016/j.celrep.2020.03.040.
Can J Physiol Pharmacol
巻: Sep;98(9) ページ: 611-617
10.1139/cjpp-2019-0686.