研究実績の概要 |
当該年度は、昨年度までの研究を継続する形でヒトES/iPS細胞からの血管細胞分化における各種心血管ホルモン、特にナトリウム利尿ペプチドファミリーの果たす意義・役割についての検討を続けた。血管細胞分化誘導過程においてANP,BNP,CNPをそれぞれ(NEPインヒビターも併用し)添加し、その影響の有無について検討した。結果、得られた血管細胞の性質および分化誘導過程・効率に統計学的に有意な差異は観察されず、シングルセルカルチャー法の導入など、より詳細な検討方法が必要であると考えられた。 血管関連疾患特異的iPS細胞を用いた研究に関しては、遺伝歴のある高安病患者(母及び娘)から樹立したiPS細胞を用いた血管細胞誘導を推進し、高安iPS細胞由来血管内皮細胞および壁細胞について十分なサンプルを用意することができた。次に既に実施済みのcDNAマイクロアレイによる遺伝子網羅的解析にて見出された、高安iPS由来血管細胞で発現変動している免疫関連遺伝子につき、RT-PCRでの確認を行った。IL7レセプターに関しては、RT-PCRにても高安iPS由来血管内皮細胞でコントロールiPS由来血管内皮細胞に比しmRNA発現が多いことを確認できた。冠攣縮性狭心症患者から樹立したiPS細胞を用いた研究に関しては、新たに、重症冠攣縮性狭心症患者データベースを保持している弘前大学循環器科との共同研究を開始することが出来た。このため、今後複数の患者から樹立したiPS細胞株を用いた解析が期待できる。
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