研究課題/領域番号 |
19K08531
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
建部 俊介 東北大学, 大学病院, 助教 (90456062)
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研究分担者 |
佐藤 公雄 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (80436120)
大田 英揮 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40586905)
齊藤 涼子 東北大学, 大学病院, 講師 (30733349)
森田 佳明 東北大学, 大学病院, 助教 (80628074)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 冠動脈微小循環障害 / 心筋線維化 / Rhoキナーゼ活性 / 心筋症 / 心臓MRI |
研究実績の概要 |
本研究は、末梢血Rhoキナーゼ活性計測、冠微小循環障害(侵襲的血行動態検査による冠微小血管抵抗指数、心臓MRIの心筋perfusion)および心筋線維化(心臓MRIの細胞外容積分画、心筋生検の病理学的検討)の評価により、心筋症の冠微小循環障害が、Rho/Rhoキナーゼ系の活性化を介し心筋のリモデリングを促進し、新たな治療標的となりうるかの検討を行うものである。 令和元年度は、57名の心筋症患者の心筋生検およびMRI検査を施行した。 これらの症例の内、遺伝子診断されたダノン病の心筋症患者について、心臓MRIの興味ある知見が得られた。本症例では、左室前壁から後側壁に顕著な遅延造影を認めたが、心室中隔領域では遅延造営は認められず、細胞外容積(ECV)の変化をきたさずにnative T1値の延長がみられた。この所見は、ダノン病に特徴的な自己貪食空胞を反映していると考えられ、実際に、心筋の電顕病理像で確認された。ダノン病とその他の心筋症の鑑別診断を行う上で、有用な画像所見と思われ、症例報告を現在投稿中である。 また乳癌治療における化学療法に関連した心筋症の早期診断法の検討も心臓MRIを用いて行った。左室駆出率10%以上の低下で定義した心筋症(心毒性)の発生は6.2%で認め、非心毒性群に比し、化学療法中の血清トロポニンT値の最大値が有意に高値であることを見出した。また心毒性群は化学療法前のNative T1値が有意に高値であった。これら結果は、学会報告を行うとともに、論文を作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象となる心筋症患者は、当研究機関が移植医療を含めた地域のセンター病院であることから、紹介が多い。研究初年度であるが、すでに部分解析を始め、ダノン症患者の症例報告を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、積極的に対象患者のリクルート活動を関連施設に働きかける。また学会、研究会、論文作成も積極的に行い、認識を高める努力を行う。紹介された患者に関しては、フォローアップデータの取り忘れないように共同研究者、他科医師、照会先などとの連絡を密にしてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外学会への参加を予定していたが、国内かつ近郊の学会参加が多く、旅費を抑えることができたため。2020年度は、研究発表を複数回予定しており、繰越金と 合わせて執行する。
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