研究課題/領域番号 |
19K08533
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡邉 哲 山形大学, 医学部, 准教授 (40359568)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大動脈弁狭窄症 / 石灰化 / Sirt-1 / Shear stress |
研究実績の概要 |
高齢人口の増加に伴い心不全患者が急増しており、その重要な原因の1つに大動脈弁狭窄症の増加が挙げられる。大動脈弁狭窄症の危険因子は動脈硬化と共通するが、大動脈弁狭窄症の半数は動脈硬化を合併せず、脂質低下療法を含め大動脈弁狭窄症進行抑制に有効な薬物療法がない。長寿遺伝子として知られるSirt-1は加齢が関与する疾患の発症抑制に関与することが報告されている。しかし大動脈弁狭窄症の進行とSirt-1の関係は十分には検討されていない。本研究では、ブタ大動脈弁間質細胞を用い、大動脈弁石灰化にSirt-1の果たす役割を検討する。さらに我々が開発したマウス大動脈弁ワイヤー傷害石灰化大動脈弁狭窄症モデルを用いて、傷害大動脈弁におけるSirt-1の発現と大動脈弁石灰化について検討する。さらにSirt-1活性化薬の投与により組織修復を促進させ、大動脈弁尖のリモデリング抑制、大動脈弁圧較差の減少および石灰沈着の抑制が生じるか検討を行う。 これまでに、山形大学遺伝子実験施設によりCrispr/Cas9を用い、Sirt-1欠損マウスを作成した。ホモ接合体は胎生致死であることより、Sirt-1ヘテロ欠損マウスで実験を行う予定である。またブタ大動脈弁間質細胞を用い、フローチェンバーにより、シェアストレスがSirt-1発現に与える影響を検討する。またsiRNA Sirt-1またはSirt-1をブタ大動脈弁間質細胞にトランスフェクションし、石灰化因子の発現にSirt-1が与える影響を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
山形大学遺伝子実験施設によりCrispr/Cas9を用い、Sirt-1欠損マウスを作成した。ホモ接合体は胎生致死であることが分かった。既報でもSirt-1ヘテロ欠損マウスで実験を行っていることより、動物実験は、ヘテロ欠損マウスを使うこととした。 ブタ大動脈弁間質細胞を用い、フローチェンバーにより、シェアストレスがSirt-1発現に与える影響を検討する。フローチェンバーを購入したが、フローチェンバーの設定が技術的に難しく、検討を繰り返している。 siRNA Sirt-1またはSirt-1をブタ大動脈弁間質細胞にトランスフェクションし、Sirt-1が抑制または増加していることを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、マウス大動脈弁ワイヤー傷害大動脈弁狭窄症モデルを作成し、大動脈弁弁尖におけるSirt-1発現の局在変化を検討する。Sirt-1活性化薬およびSirt-1ヘテロ欠損マウスを用い、Sirt-1が大動脈石灰化に与える影響を検討する。 ブタ大動脈弁間質細胞を用い、シェアストレスがSirt-1発現に与える影響を検討する。Sirt-1が石灰化因子の発現に与える影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金は、少額なので、次年度の消耗品購入に使用する予定です。
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