研究実績の概要 |
令和2年度はまずNano tracking assayにてコントロールマウスと骨格筋肥大モデルマウス(Akt1 TGマウス)の血中エクソソームの絶対量を比較検討した。30-150nm、150nm<、いずれのサイズの粒子においても、Akt1 TGマウスはコントロールマウスと比較して増加傾向であったが、統計学的有意差は得られなかった。ウエスタンブロット法でエクソソームマーカーであるCD9,CD63の発現も有意差を認めなかったことから、骨格筋におけるAkt1の過剰発現はエクソソームの発現と分泌自体には影響を及ぼさない可能性が示唆された。 次にAkt1 TGマウスの骨格筋と血清いずれのサンプル中のエクソソームでも発現が高値であったmiR206、 miR133a、 miR1aの発現をDroplet Digital PCR (ddPCR)で定量評価した。血中のmiR133a-3p, miR-133b-3p, miR-206-3pはいずれもAkt1 TGマウスで有意に高値であった。しかしながらこれらのmicro RNAの骨格筋での発現はddPCRでは有意差を認めなかった。 上記の実験と並行して、マウス血中のエクソソームが他の細胞に取り込まれるか否かを検証した。PHK26でラベルしたマウス血中のエクソソームを血管内皮細胞に添加し取り込みを蛍光顕微鏡で観察したところ、核周囲に取り込まれたエクソソームを確認することができた。 令和3年度はmiR133a, miR-133b, miR-206を含有するエクソソームを培養内皮細胞に取り込ませ、機能解析実験を進める予定である。
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