研究課題
家族性高コレステロール血症(FH)は、かつて低比重リポ蛋白受容体遺伝子変異を主な原因とする単純な優(顕)性遺伝性疾患であると考えられていた。しかしながら、臨床的にFHと診断される症例の1/3~1/4の原因遺伝子を同定できないことが知られている。近年、効果量の小さいさまざまな遺伝子変異・多型が一個人に集積した「多遺伝子家族性高コレステロール血症」の概念が浸透してきた。わが国における「多遺伝子家族性高コレステロール血症」を効率的に拾い上げるため、まず、臨床的にFHと診断された533名を対象にジェノタイピングを行った。遺伝子解析は、金沢大学で確立した「脂質代謝に関連する遺伝子の網羅的解析」スキーム(HaloPlexターゲットエンリッチメントシステムによりキャプチャし、解析は卓上型次世代シーケンサーを用いる)を用いた。バイオバンクジャパンにより集められたサマリーを用い、各々の症例につき約360万変異からLDL-C値に関する多遺伝子リスクスコアを計算した。多遺伝子リスクスコアを1,223人(遺伝子異常が確定したFH173人、遺伝子異常が確定しない臨床診断されたFH203人、コントロール847人)で検討した結果、遺伝子異常が確定しない臨床診断されたFHはコントロールに比較し有意に高値であった。コントロール群において、多遺伝子リスクスコアはLDL-C値と有意に相関していた。しかしながら、多遺伝子リスクスコアはどの群においても冠動脈疾患と関連しなかった。
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