心房細動の危険因子として、高尿酸血症が関与することが報告されているが、詳細な機構は分かっていない。一方で、心臓に存在する組織常在マクロファージが心筋とギャップジャンクションを介して結合し、これらが破綻すると伝導障害が起きることが報告された。 本研究では、高尿酸血症による心房細動が心臓の常在マクロファージの挙動の変化によって引き起こされている可能性を、in vivoマウスモデルおよびin vitroの解析を通じて検討することを目的として実験を行った。また追加実験としてヒトiPS細胞由来のペースメーカ細胞を使用して尿酸が与える影響を検討した。 マウスはヒトと違い尿酸がウリカーゼによってアラントインへと分解されてしまうため、高尿酸血症モデルマウスの作成は、ウリカーゼ阻害剤を投与しながら、高プリン体食を与えることによって高尿酸血症モデルマウスを作成した。この高尿酸血症モデルマウスで心臓常在マクロファージをフローサイトメトリーによってCD45+Lineage-F4/80+として認識することが可能であり、マクロファージの数を検討した。一度はマクロファージの数が減少したデータが得られたが、再現性が乏しかった。 マウスの実験は困難であったが、この科学研究費助成事業中に当教室でヒトiPS細胞からペースメーカ細胞を誘導する培養法を開発し、論文発表できた。そこで、この細胞を使用して尿酸をin vitroにて添加した。パッチクランプ法を用いてヒトiPS細胞由来ペースメーカ細胞の自動能、及びボルテージクランプによるイオンチャネルの機能を検討した。しかし、尿酸添加群と非添加群で差が見られなかった。
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