近年、心不全発症により障害を受けた心筋細胞は断片化DNAの蓄積だけでなくDNA損傷応答(DDR)活性化を認めており、DDRに誘導される炎症性サイトカインによって心不全の病態悪化促進が明らかとなっている。しかし、心不全病態発症、進展において心筋細胞のDDR活性化を制御する詳細な分子機構は十分に解明されていない。本研究ではDDR関連遺伝子改変マウスを用いた心不全病態モデルマウスの検討で、心筋細胞のHint1発現を減少させることによって心不全病態形成におけるDDR活性化を抑制し、心保護作用を明らかにした。またDDRが原因とされるアドリアマイシンの心毒性の抑制にもHint1発現減少の有効性を認めた。
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