研究実績の概要 |
CCUに入室した心不全症例に対して心臓リハビリテーション開始基準を作成してその妥当性を評価した。1. SpO2≧90%, 2. 収縮期血圧≧90mmHg, 3. HR ≦120bpm, 4. 体温<38℃, 5. 新規の心筋虚血や重症不整脈がない, 6. 体重が減少傾向もしくは尿量が保たれている, 7. Hb≧8g/dlまたは進行性の貧血がない。これら7項目をすべて満たす場合をベッド上からの離床プログラム開始基準とした。以後は離床プログラムに従い負荷量をアップしていくこととして、1. 運動中に強い息切れがない(Borg Score<13), 2. 運動中HR≦120bpmかつ40bpm以上の上昇がない, 3. 運動後収縮期血圧の10mmHg低下または30mmHg以上の上昇がない, 4. 運動中に新規の不整脈や虚血性変化がない. これら4基準をすべて満たす場合ステージアップすることとした。2020年4月から11月までに急性心不全でCCUへ入室した172例のうち、上記離床プログラム作成前で離床プログラムを実施していない8月までの113例と比較して、離床プログラムを作成して上記基準に基づき離床プログラムを行った9月以降の59症例では、退院後3ヶ月以内の心不全増悪による再入院率は有意に少なかった少なかった (15 vs. 2%)。一方、離床プログラム未実施群と実施群との間に、年齢 (76.8 vs. 77.5歳)、左室収縮率 (38.5 vs. 40.5%)、CCU入室時NT-ProBNP (10348 vs. 13404pg/ml)、入院日数 (25.6 vs. 28.0日)は差がなかった。急性心不全に対してCCU入室後早期から離床プログラムを導入して心臓リハビリテーションを開始することが退院後の心不全増悪による再入院を抑制することが明らかとなった。
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