研究課題
2021年度は、これまでのタイラーウイルス感染モデルを用いた研究成果を論文としてまとめた(尾村ら,Pharma medica,2021)。また、ポリフェノールの一つであるクルクミンが抗炎症作用を持つことから、タイラーウイルス感染と同様に炎症性疾患モデルとして用いられる実験的自己免疫性脳脊髄炎モデルに対してクルクミン化合物 (Curcumin β-D-Glucuronide、CMG) を投与し、その作用について検討したところ、神経炎症に対して効果が見られた。また、糞便、回腸内容物、回腸粘膜中の腸内細菌叢について16S rRNAシーケンシングを行い、得られたデータを用いて主成分分析を行うと、回腸内容物中の細菌叢データは病態と相関が見られたが、糞便の細菌叢は相関が見られなかった。また、個々の細菌の変化と病態との相関をみると、糞便中ではRuminococcus bromiiやBlautia (Ruminococcus) gnavusが病態との相関を示し、回腸内容物中ではTuricibacter属菌や Alistipes finegoldii、回腸粘膜中ではBurkholderia属菌やAzoarcus属菌が病態との相関を示した。これらのことから、CMGは腸内細菌叢の変化を介して炎症性疾患を抑制すると考えられ、今後心筋炎モデルへの効果を検討する。さらに、タイラーウイルス感染心筋炎モデルの血液を用いたトランスクリプトーム解析において、血小板関連遺伝子の発現量増加が見られたことから、血小板の役割を明らかにするため、抗血小板抗体を用いた血小板を枯渇させ、その影響を検討する研究を進めている。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
Frontiers in Cellular and Infection Microbiology
巻: 12 ページ: 805302
10.3389/fcimb.2022.805302
巻: 11 ページ: 772962
10.3389/fcimb.2021.772962
Pharma Medica
巻: 39 ページ: 67~71
10.34449/J0001.39.08_0067-0071
https://www.med.kindai.ac.jp/microbio/nihongo.html
https://researchmap.jp/somura/