研究課題/領域番号 |
19K08572
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
永瀬 聡 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (50397907)
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研究分担者 |
片岡 直也 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10791634)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不整脈源性右室心筋症 / ブルガダ症候群 / 心室頻拍 / 突然死 / 心不全 |
研究実績の概要 |
ブルガダ症候群と不整脈源性右室心筋症の患者リストはさらに解析人数が増加し、そして観察期間の延長しており、適時データの更新を進めていった。さらに心電図の解析を多面的に進め、解析の自動化に関しても検討を進めている。心エコーや心臓MRI、心磁図 に関しては引き続きデータ集積を進めている。遺伝子検査の結果は、これまでの検討ではブルガダ症候群と不整脈源性右室心筋症の両方の特徴を有する疾患には遺伝子変異を検討できなかったため、引き続き他の症例に関して検討を進めている。これまでの検討では不整脈源性右室心筋症114例中5例(4%)においてブルガダ症候群に認める特徴的な心電図波形を認めた。このようなブルガダ型心電図を示す不整脈源性右室心筋症患者では、PQ間隔そしてQRS間隔が長く、心不全入院そして心臓死が有意に多い傾向にあることが示された。また通常のフルガダ症候群に認める典型的なCoved型心電図に比べて不整脈源性右室心筋症におけるCoved型心電図は波高が有意に低く、以上より不整脈源性右室心筋症では著明な伝導障害が関連してCoved型心電図が形成されていることが示唆された。当初予想していたよりもブルガダ症候群と不整脈のoverlap症例は少なく、既存の両疾患診断のために提唱されている基準は適切に両疾患を分類し、類似した特徴を持つがやはり明らかに異なる疾患であることを本研究は示唆しているとも考えられた。そしてブルガダ症候群は不整脈源性右室心筋症の初期段階であるとする既存の概念は、本研究での長期観察結果からは決して正しくはないことも示唆されたといえる。これらの内容は論文化して現在既に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学会発表についてはコロナ禍の影響もあり、あまり行えてはいない。
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今後の研究の推進方策 |
不整脈源性右室心筋症とブルガダ症候群のoverlapを強く疑う症例は当初予想していたよりも少なく、統計学的に有意差が出にくいため、さらに研究を延長してデータの追加を行いつつ解析を進めていきたい。そして現在投稿中の論文のできるだけ早期の採択を押し進めていく。また両疾患がたとえ長期に観察してもやはり基本的には異なる疾患であることも結論の一つとして検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により学会出張が全く無くなり、これによって経費が抑えられることとなった。また既存のパソコンやソフトを使用し、限られた人数で研究を進めたことも関連したと思われる。
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