研究課題
今回の研究の目的は、家族性にLp(a)値が著明な高値ないしは低値を示す家系に対して全エクソームシークエンス解析を行いLp(a)を制御する新たな原因分子を同定し、安定同位体を用いた代謝実験(in vivo)、疾患特異的iPS細胞(in vitro)を用いた代謝実験によりそのメカニズムを明らかとすることとしていた。現時点で予定していた25家系・合計で100名に及ぶ全エクソームシークエンシング解析を行ったが6番染色体のLPA遺伝子に既知の多型を認めるのみであり、新規原因分子の同定には至っていない。一方でこのような集団においての既知の多型による効果量を数値化すべく、網羅的SNPアレイでのcommon variantのジェノタイピングを行い、polygenic risk scoreの算出を行う方針とした。現時点では新規分子の同定には至っていないが、全ゲノムシークエンス解析による新規分子の探索も行い、引き続き新規分子の同定を試みる予定である。研究の過程でLp(a)著明高値例に対する臨床像に関して詳細な評価を加え、大動脈弁硬化に大きく寄与する可能性を報告したほか、Lp(a)高値例の臨床像の詳細な評価の過程において経験した、ホモ接合体性家族性高コレステロール血症に関する臨床像の報告も行った。いずれの報告においても、LDLコレステロールに加えてLp(a)が高値であることにより、大動脈や冠動脈硬化に加えて、大動脈弁の硬化やアキレス腱肥厚という表現型に繋がることを明確に示したという点において意義は大きい。
3: やや遅れている
予定通りに全エクソーム解析は終了したものの、新規分子の同定には至っていない。一方で既知の多型の組み合わせによるリスクスコアの算出を行う方針とし現在解析中である。
著明なLp(a)高値例に加えて低値例に対してのSNPアレイ解析を追加し、ゲノムワイド研究を追することで、LPAに関わる高頻度遺伝子多型の寄与も網羅的に明らかとする。また、同時に、既知の多型の影響によるpolygenic risk scoreの算出を行い、独立したコホートでのバリデーションも含めて本邦初のリスクスコア算出を目指す。現時点では新規分子の同定には至っていないが、全ゲノムシークエンス解析による新規分子の探索も行い、引き続き新規分子の同定を試みる予定である。
現状で新規分子の発見には至らず、安定同位体やiPS細胞を用いた実験に進むことができなかったため。一方でcommon variantのジェノタイピングや全ゲノムシークエンス解析を追加で解析を行う予定としている。
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