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2020 年度 実施状況報告書

適切な抗血栓療法の実現に向けた血栓形成-溶解連関の時空間的制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K08577
研究機関浜松医科大学

研究代表者

鈴木 優子  浜松医科大学, 医学部, 准教授 (20345812)

研究分担者 浦野 哲盟  浜松医科大学, 医学部, 教授 (50193967)
佐野 秀人  浜松医科大学, 医学部, 助教 (80623842)
本藏 直樹  浜松医科大学, 医学部, 助教 (40518081)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード線溶反応 / トロンビン活性化線溶抑制因子 / 可視化解析 / 活性化血小板 / トロンビン活性 / プラスミノゲン集積 / トロンボモジュリン / 直接経口抗凝固薬
研究実績の概要

2019年度に続き、血栓形成ー溶解連関の時空間的制御機構の解明を進めるにあたり、ヒト血小板を含む血漿を用いた濁度法によるクロット形成溶解時間と共焦点レーザ走査顕微鏡による可視化解析に取り組んだ。活性化血小板による①フィブリン溶解反応の開始と②トロンビン活性化線溶抑制因子(TAFI)の活性化による溶解遅延という線溶反応に対する二面性を論文にまとめ「Activated platelet-based inhibition of fibrinolysis via thrombin-activatable fibrinolysis inhibitor activation system」のタイトルにてBlood Advancesに報告した。ここで活性化血小板による血漿中内因性可溶性トロンボモジュリンーTAFI系の修飾作用を直接的に示すことができ、活性化血小板によるトロンビン活性の増強作用が大きく関わる可能性が示唆されたことから、2020年度はトロンビン活性とTAFI活性化によるクロット溶解遅延との相関、ならびにトロンビン活性を薬剤にて修飾した際のTAFI活性化能の変化に関する解析を進めた。同可視化実験系に直接経口抗凝固薬を血中濃度レベルに添加すると、抗トロンビン薬、活性化第X因子阻害薬では各々活性阻害点が異なることから、フィブリン網形成への影響、TAFI活性化阻害を示唆するプラスミノゲン集積促進の局在性など差違が明らかとなった。血栓形成の際の、時空間的に異なるトロンビン活性、それを異なる点で抑制する抗凝固薬の影響の解析を進めることにより、抗凝固療法時の出血性合併症を回避する方策を見出すことに繋げていきたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

活性化血小板の線溶修飾につき論文にまとめることができた。さらにトロンビン活性修飾に対し、解析を進めおおむね順調に結果が得られている。しかしながら、年度当初に予定していた血管内皮細胞上における血栓形成溶解反応の解析は、年度末に開始し始めた事項となり、2021年度はこの点を重点的に進める必要がある。

今後の研究の推進方策

2021年度は、これまでに得られた研究成果を生体反応として還元するために、まず血管内皮細胞存在下において血小板血漿で得られた結果の妥当性の検証を推進していく。TAFI活性化に関わるトロンボモジュリンは血管内皮細胞表面に発現しているため、細胞表面におけるその機能発現を直接的に可視化解析し、さらに擬似血管系へと発展させて検証をすることにより、血栓形成ー溶解連関の生体内で起こりうる時空間的制御機構の理解へと繋げていく。

次年度使用額が生じた理由

2020年度に予定していた血管内皮細胞培養系における検討が年度末開始となったことによる物品費未使用分、学会がweb開催となったことによる旅費未使用が次年度使用額が生じた主な理由である。最終年度で、培養系における検討を推進し、さらに論文校閲・発表費として繰り越し分をあわせて使用予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Activated platelet-based inhibition of fibrinolysis via thrombin-activatable fibrinolysis inhibitor activation system2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Yuko、Sano Hideto、Mochizuki Liina、Honkura Naoki、Urano Tetsumei
    • 雑誌名

      Blood Advances

      巻: 4 ページ: 5501~5511

    • DOI

      10.1182/bloodadvances.2020002923

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Fibrinolysis-resistant carbonylated fibrin detected in thrombi attached to the vascular wall of abdominal aortic aneurysms2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Yuko、Tanaka Hiroki、Horinouchi Takahiro、Sano Hideto、Honkura Naoki、Unno Naoki、Miwa Soichi、Urano Tetsumei
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 10 ページ: 20728

    • DOI

      10.1038/s41598-020-77582-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 血栓形成溶解の時空間的制御2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木 優子、浦野 哲盟
    • 雑誌名

      臨床血液

      巻: 61 ページ: 1349~1357

    • DOI

      10.11406/rinketsu.61.1349

  • [学会発表] 「教育講演」血栓形成溶解の時空間的制御2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木 優子
    • 学会等名
      第82回日本血液学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 特別企画シンポジウム「次世代リーダーからのメッセージ」血栓形成-溶解機構の時空間的解析2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木 優子
    • 学会等名
      第42回日本血栓止血学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Modulation of thrombin generation or thrombin activity on activated platelets surface largely affected TAFI-dependent regulation of fibrinolysis.2020

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Y, Sano H, Honkura N, Urano T
    • 学会等名
      The XXVII Congress of the International Society on Thrombosis and Hemostasis (ISTH),
    • 国際学会
  • [学会発表] トロンビンによるTAFIの活性化を介した線溶阻害作用のリアルタイムイメージング解析2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木 優子,佐野 秀人, 本藏 直樹, 浦野 哲盟
    • 学会等名
      第82回日本血液学会学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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