研究課題
心不全はあらゆる心疾患の最終像で予後不良の症候群であり、その患者数は我が国のみならず世界的にも増加傾向にあり心不全パンデミックとして大きな問題となっており、特に高齢化社会を迎えた我が国では高齢者の心不全患者の増加が問題となり心疾患の征圧は極めて重要な課題である。そのためには、心筋の病的状態をより早期にかつ詳細に評価・診断する方法の開発や新たな治療法の開発が急務である。本申請研究では、脳性ナトリウム利尿ペプチドBNPの前駆体proBNP分泌に関わる糖鎖修飾機序に基づく心疾患の新たな診断法、治療法の開発を目的として、①心疾患の種々の病態・病期におけるproBNPの糖鎖構造の相違を明らかにすることにより、糖鎖構造に基づいた、既存の診断法にない、より詳細な心筋の病態を評価しうる新たな診断法の開発を目指す、②不全心筋において生理活性の極めて弱いproBNPが分泌増加するが、proBNPから生理活性の強いBNP1-32への生体内での生成を促進することによる心疾患の新たな治療法の開発に向けた基盤的な研究を行っている。本年度は主に上記の①について行っており、質量分析計によりproBNPの糖鎖構造解析をするために、血漿中のproBNPをproBNPに対する抗体とprotein Gカラム、ゲル濾過、逆相クロマトグラフィーなどを駆使して生成しており、質量分析計での解析を進めつつある。またヒトproBNP遺伝子を発現するマウスを作製するために、そのコンストラクトを作製中である。
2: おおむね順調に進展している
おおむね順調に進んでいるが、糖鎖構造解析のための質量分析には大量かつ精製度の高いサンプルの精製が必要であり、その精製を慎重に行っている。遺伝子改変マウスの作製にも取り組んでおり、時間はかかる工程ではあるが確実に進んでいると考える。
質量分析により糖鎖構造を詳細に検討し、その病態における際について検討を進めていく。さらには、上記の糖鎖構造解析結果から、そこに関わるシアル酸の組成についての情報も参考にしつつ、シアル酸転移酵素によるproBNPの糖鎖修飾への関与について、それに関わる分子の同定を行っていく。また遺伝子改変動物の作製を引き続き進めていく。
研究自体は順調に進んではいるが、本年度~来年度にまたがって実施している研究でコストの比率が若干来年度にシフトしたため。
すべて 2019 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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