本研究は①新規生体内代謝イメージングの確立、②ATP産生増強により心不全を改善させる治療戦略の概念実証、③エネルギー代謝に基づく心不全層別化を目的としている。 ①についてはCEST-MRIという手法を用いた代謝分子クレアチン(Cr)の分子イメージング系(Cr-CEST-MRI)を確立した。2020年には精巣虚血モデルを用いて、2021年には精巣放射線局所照射モデルを用いてCrのCEST分子イメージングに成功し、その有用性について論文報告を行った。②については、ミトコンドリアでのATP産生を活性化するタンパク質として同定したG0s2のタンパク質半減期が極めて短くユビキチンプロテアソーム系での分解制御により発現量を制御されていることから、G0s2分解抑制する化合物を独自のスクリーニング系を用いて化合物スクリーニングを行った。候補化合物を同定し、構造展開を行う事で3種類の化合物に着目し、細胞実験にて低酸素による細胞死を抑制することを確認した。in vivo POC獲得に向けて薬物動態試験を行った後、ミトコンドリア心筋症モデル等に対して投与実験を行っている。③についてはミトコンドリア膜電位イメージングであるTc-MIBI心筋シンチが心筋症症例の治療反応性予測に有用であることを論文報告した。現在は多施設前向き臨床試験を開始し、その有用性の検討を行うことにしている。
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