研究課題/領域番号 |
19K08582
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
山本 一博 鳥取大学, 医学部, 教授 (90303966)
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研究分担者 |
加藤 雅彦 鳥取大学, 医学部, 教授 (40362884)
三明 淳一朗 鳥取大学, 医学部, 准教授 (40372677)
衣笠 良治 鳥取大学, 医学部, 講師 (60598944)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 心不全 / カルニチン / ダイナペニア / 横隔膜 |
研究実績の概要 |
我々は、骨格筋量低下(サルコペニア)のみならず、筋肉量が保たれた筋力低下(ダイナペニア)、横隔膜機能障害、さらに栄養障害が心不全患者の運動耐容能や身体活動度を低下させることを明らかとした。栄養素の中でカルニチンが欠乏している心不全患者が少なくなく、カルニチン欠乏は予後悪化に関連していること、またカルニチン欠乏を認める心不全モデル動物にカルニチンを投与すると予後が改善することを示した。カルニチンは75%が食事から、25%が生体内での合成系から得られ、骨格筋にほとんどが貯蔵される。透析に伴いカルニチンが失われるため、慢性透析患者ではカルニチン欠乏が必発となることは広く知られているが、慢性透析患者にカルニチンを投与すると筋肉量が増加するとの報告もある。本研究は、心不全患者におけるカルニチンとダイナペニア、横隔膜機能障害の関連を明らかとし、カルニチン投与が四肢骨格筋や横隔膜の機能改善に結びつく可能性が高い患者群を見出し、そのような患者群に対するカルニチン投与による生活の質改善効果を検討する介入研究に結びつけることを目的とする。 これまでの2年間に心不全患者におけるカルニチン濃度測定、横隔膜エコーによる横隔膜機能チェック、骨格筋量および筋力計測を行い、218例の心不全患者において欠損データのないデータ収集が行えた。少数例における検討として、心不全患者における呼吸筋トレーニングの有効性やカルニチン投与の有効性に関係する論文を発表した。またカルニチンの副作用として懸念される血中Trimethylamine N-oxide (TMAO)増加による心血管イベント増加について、TMAOレベルが高い心不全患者の予後は不良であるが、TMAO高値はカルニチンが不足気味の患者に見受けられ、少なくともカルニチンが十二分に体内に存在することが必ずしもTMAO高値となるリスクとは言い難いことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍であることを考慮すると、症例登録は順調に進んでいると考えられるため。また、関係するテーマで論文を3編発表したため。
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今後の研究の推進方策 |
もう少し症例登録を進め、データ解析後、介入研究の計画最終案をまとめる。、
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