本研究課題では、血管内皮細胞が炎症時の細胞硬化に伴い、どのような機構で細胞機能を調節するかについて解析を行った。その結果、炎症刺激時に細胞硬化を誘導する転写共役因子YAPの活性化、細胞骨格の再編成に次いで、Notch1シグナルの抑制が起こり、血管内皮細胞の遺伝子発現が調節されることを明らかにした。また、抗凝固・抗炎症因子であるトロンボモジュリン製剤が細胞軟化を生じて白血球の接着を減弱することを見出した。これらから、血管内皮細胞の硬化に連動して誘導される細胞内シグナル伝達と細胞機能変化が明らかになり、本機構が血管炎症の制御に応用できる可能性を示した。
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