研究課題
本研究には高感度偏光光干渉断層法(PS-OCT)ワークステーションで得られる複屈折画像・脱分極画像の解析が必要不可欠である。2019年度は、テルモ社およびマサチューセッツ総合病院(MGH)のBouma教授から提供される予定のPS-OCTのワークステーションの作動状況を確認・習熟するため、すでに記録されている一般的な光干渉断層像(信号強度画像)のローデータを渡米時にMGHで後方視的に解析し、複屈折画像と脱分極画像を用いた膠原線維の同定・定量などを習得した。2020年度・2021年度はコロナウイルス感染拡大とそれに伴う半導体不足などを含む諸般の状況により、PS-OCT解析ワークステーション搬入が滞り、2020年度終了予定の基礎的なデータ検討や2020年度に計画していた急性冠症候群に対する前向き研究内容に関して202進捗はなかった。この間、OCTコアラボによる冠動脈プラーク性状の判定の国際多施設共同研究に参加し、診断精度は線維プラーク0.93・石灰化プラーク0.83・層状プラーク1.0・厚い線維被膜の脂質性プラーク0.63と良好であったが、石灰化結節0.50・マクロファージ/泡沫細胞0.35・薄い線維被膜の脂質性プラーク0.39・ 壊死性コア0.22の診断精度は低いことが判明し、PS-OCTによる診断精度可能性が考えられ、2021年11月の米国心臓病学会で報告予定である。PS-OCTによる冠動脈硬化進展の病態生理的検討の可能性に関しては5月27日のMayo Clinic Cardiac Lab. Conference(米国)や6月19日のSCAI Indiaの webinarや9月4日のSTEMI Council CSI 2021(India)・9月25日POPAI(日本・岐阜)・10月1日IPSCI 2021(Indonesia)など国内外のウエブカンファレンスで報告した。
4: 遅れている
研究実績の概要で記載したごとく、本研究には高感度偏光光干渉断層法による得られる複屈折画像・脱分極画像が必要不可欠で、2019年度に渡米時、複数回にわたり高感度偏光光干渉断層法のワークステーションの作動状況を確認し、すでに記録されている光干渉断層像(信号強度画像)のローデータを後方視的に解析したデータを視聴し、今後の研究計画・機器の搬入、協力体制などに関して協議済であった。機器搬入支援に関しては2020年1月テルモ社との間で協議し、2020年度搬入準備段階であったが、その後のさらなるコロナ感染拡大・半導体不足などにより、2021年度も機器搬入が滞り、研究計画の進捗がない状況である。解析のための基礎データがなく、機器搬入ができなかったことで2021年度も研究予定を遂行することができなかった。
2021年度も2020年度と同様にコロナ下・半導体不足などで本研究に必要不可欠なPS-OCTワークステーションの搬入が遅延しており、研究の進捗が大幅に遅れている。2021年1月~3月におけるテルモ社およびMGHのBouma教授との協議により、2022年6月~7月に機器搬入の確約を得ることができたため、1年間の研究延長を申請し、承認を得て今年度は研究遂行が現時点で可能となっている。研究の遅延を取り戻すために、①PS-OCTワークステーションの搬入・設置を早急に対応する。②研究停滞の間に高感度偏光光干渉断層法(PS-OCT)による複屈折画像・脱分極画像と組織標本との対比などの基礎研究が報告されているため、2020年度に計画していた急性冠症候群に対する前向き臨床研究を推進し、PS-OCTの急性冠症候群における有用性を証明する。1年以上の研究延長は困難であり、機器搬入が望めないのであれば今年度早期の段階で研究中止も視野に入れて慎重かつ積極的に研究計画を遂行する。
研究実績の概要で記載したごとく、2020年度・2021年度はコロナウイルス感染拡大とそれに伴う半導体不足などを含む諸般の状況により、PS-OCT解析ワークステーション搬入が滞り、2020年度終了予定の基礎的なデータ検討や2020年度に計画していた急性冠症候群に対する前向き研究内容に関して進捗はなかった。この間、OCTコアラボによる冠動脈プラーク性状の判定の国際多施設共同研究に参加するなど、PS-OCT解析ワークステーション搬入時に早急に研究できる体制を維持するための最低限の研究は継続してきた。2022年6月~7月にPS-OCT解析ワークステーション搬入の見込みができ、搬入後すぐにOCTカテーテルなど必要器具を購入し、急性冠症候群症例のPS-OCT記録・解析を行う予定である。
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