研究課題
動脈硬化モデルマウス(Ldlr欠損マウス)のリンパ節を解析したところ、リンパ節髄腔の過形成が認められた。DNAアレイ解析により、IL-18、VCAM1等の炎症性マーカーの限定的な亢進が認められた。VCAM1発現はリンパ管内皮細胞に顕在し、リンパ管炎の兆候が認められた。脾臓より単離したCD4陽性T細胞をレシピエントマウス足裏に導入し、所属リンパ節へのリンパ球動員を評価したところ、脂質異常症に伴いリンパ球動員の低下が認められた。リンパ節をリンパ管内皮細胞、血管内皮細胞、細網線維芽細胞に分画して、カルパイン内因性阻害因子カルパスタチンの発現を検討したところ、リンパ管内皮細胞において特異的な発現の低下が検出され、カルパイン系が脱抑制を受けていることが明らかとなった。また、同リンパ管内皮細胞群において特異的なTGF-beta1発現低下が認められた。リンパ管内皮特異的プロモーターを用いて同脂質異常症マウスにカルパイン阻害因子カルパスタチンを導入したところ、上記リンパ管リモデリングと、VCAM1誘導を主体とするリンパ管炎は抑制され、リンパ球交通も改善された。また、大動脈における動脈硬化症は抑制され、血中TGF-beta1レベルの上昇と制御性T細胞の大幅な回復が認められた。動脈においてはM1マクロファージの低下が検出され、同時に繊維化が促進しており、プラーク自体は安定化の兆候が認められたが、血中リポタンパク質中のコレステロールおよび中性脂肪分布に影響は認められず、脂質異常症自体には影響しないものと考えられる。一方、脾臓より単離したCD4+T細胞中の制御性T細胞サブセットは、リンパ管内皮細胞との共培養で外因性TGF-beta1の非存在下でも維持可能であることも見出した。
1: 当初の計画以上に進展している
動物実験に関しては概ね完了したため。
ヒトリンパ節切片において、脂質異常症の既往歴によりリンパ管炎症が惹起されるか検討する。また、リンパ液、リンパ組織のリピドミクス解析を行い、カルパイン系の上流に存在する生理活性脂質を見出す。
概ね計画通りであったが、発注から納品までの時間がかかる試薬があり、端数が生じたため。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件) 備考 (3件)
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http://www10.showa-u.ac.jp/~biochem/Takuro_Miyazaki/Takuro_Miyazaki.html
https://researchmap.jp/miyazakitakuro/presentations
https://www.researchgate.net/profile/Takuro_Miyazaki2/